__保健室編

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お昼ご飯が食べ終わって最初の授業中。
必死に眠気を我慢していたらなんだか気持ちが悪くなって、本当に吐きそうだったから保健室に駆け込んだ。
不死川先生の授業だったからちゃんと後で友達からノートを見せてもらって復習しないと、後々大変なことになりそうだ。

保健室のベッドに横になるのは久しぶりだった。
寝転んでしまえば自然と吐き気は薄れていったが、せっかくだしちょっと寝てしまおう。
そう思って瞼を閉じた。


「失礼する」
「あら、煉獄先生」

愛する人の声で目が覚めた。
ガラガラと大きな音を立てて保健室のドアが開き、いつもより声のボリューム控えめな煉獄先生が入って来たみたいだ。
カーテン越しからシルエットが見える。

「実は生徒の1人が休憩時間中にふざけて友達と遊んでいて、転んで頭を打ったらしい」
「まあ。その子は今どこに?」
「教室で安静にしてもらっている。その子の担任の先生はすでに教室に向かっているんだが、先生も来てくれないか?」
「わかりました」

なんてこった。
大事件が起きているらしい。
こんな時でも冷静な煉獄先生は流石だなあと思う。

慌てた様子で保健の先生が部屋から出て行ってしまった。
あれ、煉獄先生と2人きり?


「保健室で2人きりって、エッチな展開ですね」
「……名前か」

カーテン越しにも煉獄先生の顔がわかる。
今きっといつものようにうんざりしたような顔してる。
シャッ、と勢いよく開けられたカーテン。
学校内だというのに先生の視線は家で2人きりの時のように冷たい。

「サボりか」
「そんなわけないじゃないですかー!ちゃんと体調不良です」
「名前が?珍しいな。おまえ全然風邪も引かないだろう。どこが悪いんだ?大丈夫なのか」

地味にめちゃくちゃ心配してくれている先生に、つい顔がニヤついてしまう。
可愛い人だ。


「私は寝たら治ったから大丈夫。それより、大丈夫?転んだ子」
「…担任の先生が車を出すと言ってるから、病院に連れて行かれるだろうな」
「保健の先生も?」
「おそらくそうだろう」
「じゃあしばらく煉獄先生と二人きり?エッチする?」
「馬鹿なことを言うな!聞かれていたらどうするんだ!俺をクビにする気かおまえは!」

声を潜めて激怒する先生。
少し顔が赤くなっている。
やっぱりそういうシチュエーションは男の人たちの憧れだったりするのかな。
ちょっと想像しちゃったのかな?


「ねえ先生、私のことも家まで車で送ってよ」
「断る。担任に頼めばいいだろう」
「じゃあ親もいない時間だし、担任部屋に入れて遊んでもらおうかな」
「…誰でも良いのかおまえは」
「私は煉獄先生だけだよう〜〜冗談じゃん!うちの担任、悲鳴嶼先生だよ?!超冗談じゃん〜」

けらけら笑っていると、いつも通り眉間に皺を寄せて睨みつけてくる。
ゆっくりと近づいてきたので思わず布団に潜った。

「ぎゃっ」

足首を掴まれた。
布団の中に手を突っ込んで私の左足首を掴んだ先生は、そのまま足の裏をくすぐってくる。

「ちょ、やめてよ!ふふふあははっ」
「からかった罰だ」
「保健の先生もどってきちゃうよ」
「!」

正気に戻り、すぅっと手を離すと何事もなかったかのようにカーテンをめくって出て行こうとする。

「今日も遊びに行くね」
「病人は来るな。家で休め」
「もう大丈夫、元気だよ」
「なら授業に出ろ」
「…はいはい」

ぬくぬくとあたたまっていた布団からしょうがなく出ることにした。
そうすれば今日家に行っても良いってことだよね?
スカートに皺がついてしまったからアイロンをかけないと。

「ほら、行くぞ」
「あ、うんー」

扉の前で待っていてくれた煉獄先生と保健室を出た。

「なんか2人で保健室から出てくるとか怪しくない?」
「黙れ」
「冷た」




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