24. You are naive like a child

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今度は義勇と2人、向かい合って座る。
お茶が出てくるようなことはもちろんない。
背負っていた薬箱を横に置いて脚を崩した。

「手紙の子って、炭治郎君のことだったんだね」
「ああ…」
「でも義勇、ちょっと元気そう」
「そうか…?正直、戸惑ってる」
「1人でこんな広い屋敷にいるより、誰かそばにいてくれた方が良いに決まってるもの」
「…」

いつも義勇に飲ませている薬を取り出して目の前に置いた。
私の家では白湯と一緒に出すが、生憎ここは私の家ではないので白湯がない。

「この薬を飲んだって、その戸惑いは無くならないと思うよ」
「…」
「なんで弟子にしてあげないの?」
「…俺には無理だ」
「どうして?」

また子どものようなことを言う。
ふと、錆兎の後ろで「俺は無理だよ」とめそめそしていた義勇を思い出した。
立派な柱になっても義勇は義勇だ。


「錆兎なら…よかったのに」
「義勇…」

やっぱりまだ義勇の中で錆兎は消化し切れてない問題なのだ。
もちろん簡単に忘れることはできないだろう。
しかし今は自分をもっと信じて生きるべきだ。
柱という役職へ昇り詰めた実力を、どうして彼は認めないのだろう。

彼には彼の考えがあるのはよく分かる。
義勇は昔から1人でなんでも悶々と考えてしまう癖があったから。

綺麗な顔は表情が全く読み取れない。
今は何を考えているのだろう。


「ねえ義勇、私は今の義勇でいいと思うよ」
「…」
「自分をもっと大切にしてね」
「…ああ」

そっと手を重ねる。
相変わらず冷たく、ごつごつしている。
冷たいはずなのに義勇に触れると身体の芯から熱くなる気がする。

「今日、泊まって行ってもいい?」
「ああ。部屋はたくさんある」
「ちゃんとお掃除してるの?」
「週に一度、お手伝いさんが来る」
「そうなの?本当、富豪みたいになっちゃったんだね」

思わずあはは、と笑うと珍しく義勇もふふっと笑った。
やっぱり少し元気みたいだ。
これもきっと、ずっと義勇に付き纏ってくれている炭治郎君のおかげだろう。
彼は義勇と正反対にとても明るい太陽のような子だから。
義勇の側にいる子が炭治郎君で良かった。





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