-おまけ 4年後

※宇髄先生視点


煉獄と苗字が結婚することが正式に決まった。

薬指にシルバーの華奢な指輪をしてキメツ学園に登校してくると、その日のうちに学園中の噂になった。
あの人気者の煉獄先生が遂に結婚したと。
まあ俺の方が人気者なんだが、あいつもまあまあ生徒から慕われているからしょうがねえ。


「よお、お疲れさん」
「宇髄…」

いつもよりげっそりした煉獄が教員室にあるデスクへ座った。
今日はテストがあったから丸つけ作業をみんな手分けして行う。
つまり地獄の残業だ。
生徒がみんな帰ってこれからが本番だというのに、煉獄は珍しく疲れ果てている。


「早く帰らず校舎内で遊んでいる女学生たちに早く帰れと注意しに行ったらなかなか離してくれなくてな」
「また指輪のことでいじられたのかよ」
「ああ。どこの人だとかどんな人だとか」
「大変だねえおまえも」
「早く帰りたい…」

家に帰りたいなんて珍しい。

しかし俺はその理由を知っている。
実は3ヶ月前から煉獄の実家に苗字が住んでいる。
実家の隣の空き地に自分たちの家を建てることが決まって、とりあえず完成するまでは実家に住むらしい。


「嫁姑問題は今んとこ大丈夫なのか?」
「ああ!名前はマメだからな。家でもテキパキ仕事をするから父も母も既に一目置いている」
「あいつ見た目はのんびりしてそうなのに結構動くからなあ」
「そうなんだ。どうやら両親もそのギャップに惚れ込んでしまったようだ。母が可愛がって名前用にお菓子をたくさん買ってくるようになって、最近太って来た」
「おまえそれ苗字に言ったら殺されるんじゃねーの」
「最近腹が前よりぷにぷにしていて触り心地が良いと言ったら殴られた!」
「あーあ」


未だにキメツ学園に納品に来ているが、そこまで見た目は変わっていないからそれほどではないのだろう。

結婚に4年もかかったのは苗字がまだまだ仕事を続けたいと言ったからだ。
結婚したら苗字が変わるだけでなくて色々なことが変化してしまう。
子どもができたら今の仕事は辞めるしかないらしい。

そんな苗字の意見を尊重して、最近やっと結婚することが決まった。
今仕事を辞めることに悔いはないらしい。
これからは子どもが欲しいと最近会った時に言っていた。


「無理して家でも動いてんじゃねーの?」
「うむ!そうなるといけないから家事は俺も手伝うようにしている。それと母と一緒に韓ドラにハマって、泣きながらずっと見ているな」
「仲良くなってんなあ」
「うちは男しかいなかったから、嬉しいらしい」

煉獄の母親は見かけによらず乙女な部分があると前に苗字が言っていたことを思い出した。
一緒にカフェ巡りをしたとも言っていた。
俺が心配する必要はなさそうだな。


「結婚式は決まったのか?」
「日程はこれからだが、来年の予定だ。名前が軽井沢の有名な式場でやりたいらしくてな。予約を入れなきゃいけないんだ!」
「へえ。あいつそんなところでやりたいとか言うんだ」
「別に無理にそこにしなくていいとは言われたが、人生で一度だ。しかも俺と名前にとって大切な日になるから、どうせなら素敵なところでしたいだろう!」
「へえー」

もうこいつらの話を聞いてると腹がいっぱいになる。
苗字の話になった途端に生き生きとし出した煉獄は無視して丸つけ作業を手伝うとしよう。
どうせ明日、苗字が納品に来る日だ。
煉獄の惚気をどうにかしろと言うために、手伝ってやるか。


end


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