夕焼けに染まる木の葉の里。人通りも少なく辺りの家からいい匂いが漂ってくる。そんな中、緩む頬を抑えながら一人帰路を歩く。

「あー、明日から連休だぁー!」

ふんふんと鼻唄まじりに呟いていると向かいから一組のカップルが歩いてきた。
連休は一緒に過ごそうだとか、そりゃもう甘ったるい空気を漂わせながら。

「…ナルトは、連休誰と過ごすんだろ…まさかサクラとか」

中睦まじいカップルを見て思い浮かんだのは片想い中の彼の顔。でも、小隊も違えば一緒に任務をしたこともない。ただカカシ先輩といる時にちょくちょく会うくらいだ。
両想いなんて、夢のまた夢。

そんな事を考えていると、後ろの方から自分を呼ぶ声がした。

「名前ー!」

大好きな彼の声だった。
丁度今考えていただけに、肩がビクッと跳ねあがった。破裂しそうな程高鳴る心臓を押さえながらゆっくりと振り向く。

「ナ、ナルト…!ど、どうしたの?」

振り向けば膝に手を置いて大きく肩で息をするナルトがいた。その額にはうっすら汗がにじんでいる。

「俺ってば、さっき、任務終わったんだけど…はぁ」
「うん、」

「名前もちょっと前に任務から、帰ってきたって聞いて、」

「…追いかけて来たの?」

「うん、名前の家の方行ったんだけどいなくて、探したってばよ」

「…」

落ち着いてきたのかナルトは袖で額の汗を拭いながら軽く見上げてくる。

「…名前?」

「…っあ、ごめん」

自分を探してくれたなんて小さな事だけど、ただそれだけの事に胸がきつく締め付けられ唖然とした。

「でも、なんでナルトが私を…?」

話を持ち直そうときりだせば、ナルトは何故か頬を軽く染めそわそわし始めた。

「あ、あのさ…名前ってば、明日から連休だろ?」

「?うん」

「暇な日とか…」

「ああ、私なら全部空いてるよ。寂しいことに」

そう苦笑いで返せば、ナルトは優しく笑ってくれた。そして嬉しそうに口を開いた。

「じゃあさ、じゃあさ!…その、俺と、遊ばねー?」

「えっ…!」

思いがけない言葉に一瞬思考が停止した。
これは、期待していいのか…。

「あっ、ほら、俺たち全然二人で話した事とかねーし…どーかなって」

「う、うん!遊ぶ!」

「よっしゃ!じゃあ、いつがいい?」

「いつでもいいよ」

「んー…じゃあ、毎日!」

「毎日!?」

「そ、毎日!名前の休日は全部俺が予約したってばよ!」

かわいすぎるナルトの言葉に顔が熱くなる。もう、こんな事を言われたら弱気になんてなってられない。私も圏内なら、挑戦しなければ。
なんて一人心の中で決意を固めていると、おいうちをかけるが如く信じられない言葉が聞こえた。

「それでさ、毎日遊んで、俺のことよくしって…」

「うん」

「もし、良かったら…お、お俺とつっ、付きルァっ!…ああぁぁぁぁぁぁ!!大事なとこで噛んだってばよぉぉ…!!」

甘い雰囲気からガラリと変わり、何時もみたいに大声をだしてるナルト。え、今、なんて言おうと…これは自惚れしていいのだろうか。もしそうなら…あああ最後まで聞きたかった…!でもこんな時に噛むなんて、ナルトらしいじゃないか。自然と頬が緩む。真っ赤になって頭を抱えるナルトに小さく、聞こえない程度に呟く。

「ナルトの右側、予約で」

ああ、明日からが楽しみだ。





mae ato
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