傀儡人形
薄暗い部屋の中
窓のないごつごつした壁に囲まれ、赤髪の彼は傀儡の整備をしていた。
その隣に座って綺麗な横顔を見つめる。
「サソリ、」
「……」
「ねぇサソリ」
「……」
いつもこうだ。
私がいくら名前を読んだって、彼には届いていない。傀儡マニアの彼の事だから、とても集中しているんだと一人合点をする。
それでも、寂しいときだってあるんだ。そう伝えようとしたら、彼の白い二本の腕がのびてきた。
私を膝にのせて、愛しそうに頬を撫でる。
「なまえ……」
「サソリ、サソリ」
「なまえ…これでお前も永遠だ。永遠に、俺が愛してやる」
「嬉しいわ、サソリ」
「なまえ、なまえ…愛してる」
「カタカタカタ」(私もよ)
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