「―――」 「――っ!」 ― 今日もまたあの夢を見る。 ある昼下がりの美術館。 日常と切り離された空間で起こった逃走劇。 「ギャリー…」 そこでの出来事、その結末。 ごめんね、ごめんね 結局私は自分が助かりたいばかりに貴方を犠牲にした。 優しい貴方は「アタシがやりたいようにやっただけよ、ナマエは悪くないわ」 なんていうんでしょうね。でも、 違う、そうじゃないの、ギャリー 私そんなのだったら貴方に罵られて蔑まれた方がいい。 別れる間際、貴方の顔に余裕が無いのを知っていた、分かっていた。 なのになのになのに、 貴方は何度も何度も私の夢の中に現れて その優しい言葉は胸を抉るほどに痛い。 貴方がいないエンディング 届かなかったハッピーエンド 「ねぇナマエ」 「どうしたの?ギャリー」 「アタシがもし何時まで経っても戻ってこなかったらナマエはすぐ出口から元の世界に帰りなさい」 「どうして、ギャリーはっ?」 「このままじゃ2人とも逃げられないわ。アタシが時間を稼ぐからその間に…」 「いや、嫌だよギャリー!一緒に帰るんでしょ?ギャリーが囮になるなんて駄目だよっ!」 「馬鹿ね、ちゃんとアタシも後から行くから…だからお願い、言うことを聞いてナマエ」 「ギャリー…」 「…良い子よ。また元の世界で会いましょうね」 私が子供だったから、彼が大人だったから 私は守られる立場になってしまっていた? 震えて覚束ない足がもっとしっかり立って走れて入れたら彼を犠牲にすることなんて 「嘘吐き…こんな形で再会なんて……」 切り離された世界の境界線で 私は今も貴方の肖像画に顔向けできないばかり。 bark |