自分から誘って、乗ってきたら冷めて、入ってから後悔する。 何かが変わるかも、楽しいかもなんて思って、やる直前で目が覚める。 こんなんで変わるはずない。楽しいはずない。気持ちよくなんか無い。 sexは快楽だと言ったのは誰だろう。思っていたのは何時から? そんな言葉を信じて、鵜呑みにして 情事後、「良かったよ」と相手が言うのを私はぼんやりと聞いていた。 駄目だった、また駄目だった。そんなことを何回も繰り返し、 またね。と別れた後、暗くなった駅前で何処に行く当てもなくブラブラと歩き続け、私は昔付き合っていたギャリーの家へと足が向かうのが習慣だった。 『・・・会いたい。』 そう扉の前で電話すれば、ガチャリと音を立てて目の前のドアが開かれる。 「また来たの・・・」 「うん、また来た」 入りなさい、と部屋に招かれて私が毎回言い出すのはこうだ。 「ギャリー、抱いて…」 私は彼の優しさに甘えている。 結局ここでだってさっきとやることは変わらず、 違うことといえばギャリーがそれを自分から望んではいないということだった。 私だって別に好きなわけでもなんでもないし、ただ辛くなるだけだと分かっているのに。じゃあなんでするのだろう。 布団の中で私はギャリーにくっ付きながら下の方を手でまさぐった。 好きなわけじゃないのに手が動く。ギャリーは何も言わない。 手の中のモノが大きくなっていくのを感じてもそれは生理現象だと頭の中ではちゃんと理解しているし、気持ち良くないのに濡れるのも保護の為だと知っている。 そうして子宮を打ち付けられる鈍痛に最初はこれが良いのかと思っていたけどやっぱり違うんだと感じたのは最近で。 「ねぇ、気持ち良い?」 「ん、そうね・・・っ」 息を荒げながら動く彼を見て私は問いかける。 それならいいんだ、と私はまた目を瞑り、やっぱりイけないんだと泣きたくなるのを抑えた。 「…こんなこといつまで続けるの?」 別にアタシは得だからいいけれど、アンタはそうじゃないでしょ。 頭を慰めるように撫でられながら、ギャリーの言葉を考えた。 そう言われるけどギャリーにとって得なんてない事知ってる。 「ねぇ、アタシじゃアンタにあげられないのよ」 「アンタが望むものを」 「アタシじゃアンタの“期待”に答えられないの。」 そこまで言われて私は漸くなんでこんな事を何回も繰り返すのか気付いた。 「だから早く好きな人をつくりなさい。」 それが貴方だったらいいのに。 一番長く一緒に居て誰よりも私の事を分かってくれる貴方が。 好きな人となら気持ちよくなるはずだと思っていても こうも肌を重ねても満足しないということは結局彼とはお友達なのか、それとも 情事後の他の人とよりも強く感じる寂しさと虚しさは彼に対する罪悪感からなのか。 bark |