追いかけるはヴォールピ /γ (RE)










「ここも行き止まり・・・!!」

止まる足音。
加速する心臓の音。
分かれ道を進んだ先は行き止まりだった。
急に止まった体に疲労が襲い掛かってくる。
でも休んではいられない。


今彼はどこにいるのだろうか―――。

(とにかく早く出ないと――、)


捕ラワレル。

もし彼に捕まったら、今度こそ逃げられなくなってしまう。
多分・・・いや、確信に近い。


チャンスとか、そういうものではなくて――



とにかく さっきの分かれ道に戻ろうと踵を返した。






「見つけたぜ、名前。」

振り返った際、掛けられた声。
さっきまで考えていた・・・

間違いない

彼だ。



私が確信すると同時に、角から姿を現した黒い影。

電光のγ


彼はこっちに歩み寄り、私から少し長めの距離をおき、止まった。





「GAME終了だ。」

「っ!―― まだ終わってないっ!!」


GAMEが始まる前、彼から渡された匣、二つを開匣させる。


一つは兎の召喚。
開匣された匣から出てきた2匹の兎は私の意思によって、
両足についた瞬間、それは形を消し、ただの炎となる。
防御など様々な使い方があるが、これが主。
スピードの上昇。
外見はFシューズの様だが、飛べはしない。
跳ぶことはできるが。


もう一つからは勢いよく炎が噴射され、私の腰にベルトのような輪を作った。
両腕を横から上へゆっくりと上げる。



そこで、彼を見た。

彼は何もしてこない。
あのときも、そしてずっとそう。
馬鹿にしたような―― でも、今は、少しだけ――
見間違いかもしれない。


悲哀に満ちた目をしていた。

(やっぱり、分からない人―― )




輪は急速に回転し周囲を増していく。
肩まで腕が上がったのをサインに、輪は2つに切れた。
現れるは炎の刃、カマイタチ。


一つ、大きな空気のかたまりを呑みこむ。


(これが私の最後の反抗。)

私は意を決す。

逃げるなら全速力で。
どうせ尽きていた命。
後悔はしない。
私は私で頑張った。
それでいいじゃないか。
もし、捕まったとしてもだ。

ボンゴレの情報は渡さない。
この命に代えても――


ただ、 今の私にできること――

結果はどうあれども。






( ―― これで 、終わる 。)


彼に腕を向けた。
私の元から離れ、標的に向かって加速するカマイタチ。
それに離れないように、脚に力を入れて踏み出すと同時に足の炎は噴出し、カマイタチのすぐ後についた。
彼との差が縮まる。
もう一度力強く地を蹴り、カマイタチの前へ。

彼との視線が合った。




ドカンっ!!



横を通り過ぎて、後ろから聞こえてきた爆発音。
緊張から解放された私はスピードを落としていく。

その瞬間、後ろから何かに抱きしめられた。






「少々おイタが過ぎる―――が、

     捕まえたぜ、名前――。」



(捕まった、んだ――)

足の力が抜けて、炎が消えた。
抱きしめられた腕の力は増すばかり。

私は抵抗する術を知らなかった。






追いかけるはヴォールピ
(カマイタチは彼が呼び出しただろうヴォールピに相殺されていた。)





bark