「私が貴方の事を諦められるように、酷く抱いてください。 貴方の事を二度と思い出さないように」 「そんなこと、できない…」 「だったら貴方はっ、お妙さんではではなく私を選んでくれるんですかっ」 「……すまない」 「分かってます、そんなこと…だからこそ、抱いてください。 私を少しでも救いたいと思うのならそうして! 私の、最後のお願いなんです…」 こうするしかないのか、と 近藤さんは苦しげに呟いて、私を押し倒した。 偽りの言葉、優しい愛撫など望んでいない。 ただ乱暴に胸を掴み、服を剥がされ、 現れたまだ慣らされていないソコにそのまま押し込まれたソレは壁を突き破って激痛を与えた。 「名前ちゃん、まさか…」 「いいから、続けて…っ!」 断続して打ち付けてくる痛みに必死に耐えた。 これは私の罪。 決して振り向かない人を好きになってしまった。 報われないと思っても止められなかった。 全然気持ちよくなんて無い、快楽なんて生まれない。 あるのは痛みだけ。 いつしか限界を向かえ肉体的にも精神的にも追い詰められる。 継続してくる痛みに上も下も分からなくなって、ここまできてしまったことの脳内の葛藤の中、ついに意識を手放した。 目を開けると愛しい彼の横顔が見えた。 いつも彼が見せている笑顔はここにはない、あったのは苦痛の表情。 許してくれ、名前ちゃん… 彼の寝言が宙に消える。 なんでそんなに優しいの、 別に近藤さんは何も悪いことをしたわけじゃない。 ただ私が、勝手に馬鹿みたいにこんなに好きになって…っ 女1人引っ掛けたと笑い飛ばしてくれたらどんなに良かったのか 彼はそんなことできる人じゃないけれど。 ベッドで眠る近藤さんを起こさないようにベットから抜け出して1人身支度をした。 小さなテーブルの上にお金を置いて私は部屋から抜け出した。 外はまだ暗く、少しひんやりとしていた。 朝の冷たい空気は私をまどろみの中から呼び覚ます。 これで良かったのだろうか。 彼の優しさを踏みにじり酷く扱ってもらえば嫌いになれると思ったけど 結局私は近藤さんも自分自身も傷つけてしまっただけでは、 涙が頬に伝う。 積もるのは後悔。 でもそれを認めたくなくて私は無理に笑顔を作った。 脳裏に近藤さんの優しい横顔が浮かぶ。 結局私は彼を嫌いになることなどできないのだ。 bark |