待っている人



「ギャリーって結婚してるの?」

「いきなり何言い出すのアンタ。」

悲しき花嫁の左手の薬指にギャリーが指輪を嵌めているのを見ながら私は質問した。

「してないわよ。」

「やっぱり。」

「殴るわよ、アンタ。」

殴りかかるマネを無視して私は続ける。

「でも、待ってる人はいるんでしょ?」

「?」

「家族とか恋人とか…友達とか。」

自分で質問しておきながら私は彼になんて答えてほしいのか分からなかった。
ただ、ぽつりとでた一言で
その言葉を言って胸が重くなったのを感じた。

「いないわよ。」

「え?」

「まぁ、家族や友達はいるっちゃいるけど家族とは別々に暮らしてて毎日会うわけじゃないし、
 友達は…まぁ何日か現れなかったらメールの1,2通はきてるんじゃない?そんなもんよ。」

「ふーん…」

あぁ、そうか。
この人はもう大人なのか。
1人でなんでもやっていかなくちゃいけないのか。
大人…

「リサはここに来て結構経つんでしょう?家族も友達も心配してるわよ。
 だから一緒に頑張って元の世界に帰りましょう!」

「………」

「リサ?」

別に私は帰りたいわけじゃない。
帰りたくないからここにいるんだ。

何も言えなくてじっと無言でギャリーを見つめる。
思っているほど元の世界なんて楽しいことはない。
メアリーは外に出たいと言っていたけどわざわざここから出るほどの価値があるほどのものなのか分からない。
彼が帰りたいのはここが怖い場所だと思っているからに違いない。
ここの住人になって追いかけられるものがなくなったら過ごしやすい環境の中帰りたいなんて思わなくなるはず。


私が不安だと思ってるのか
大丈夫、きっと帰れるわよと頭を撫でられる。



あ、でも

メアリーは人間じゃない、ゲルテナの作品。
彼はそれを認めるのだろうか?
人間って自分と何かが違うととたんにそれを非難しだす。
大人なら特に。


これはちょっと厄介だなとか思いつつ
どうすれば彼をこの世界に留める事ができるのかを考える。


上手いアイディアはなかなかでてこない。

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