始まり



クレヨンで書かれた部屋での小さなお茶会。
それまで音が全くなかった部屋の中に突然の音。


あ、人が入ってきた音がする。


「リサ。」

黄色い髪をした少女、メアリーが向かい合う人に声を掛ける。

「うん、人が入ってきたみたいだね。」

返事をした彼女は、リサと呼ばれた。
メアリーより少し背が高く、落ち着いた雰囲気からこちらの方が年上に見える。


メアリー、遊びに行くの?

黄色い髪の少女は久々の来訪者にぱっと目を輝かせ出かける準備をしている。


リサはいかないの?

うーん、そうだなぁ…

クレヨンで書かれた紅茶を覗き込みながらふぅ、と一息。
横目で


「私はもうちょっとここでゆっくりお茶をしてるよ。」

「分かった。じゃあいってくるねリサ!」
「いってらっしゃい」


メアリーが部屋から出たのを見計らって私は聞き耳の前に立った。

「女の子…
んー、メアリーと同じ位の子かな。」

よかったね、メアリー。
また友達ができるね。


でも貴女がここから出ることはできないけれど。



「ん?」

あら、また誰かきたみたい。
今度は女の人?でもなんか少し声が違うような…

聞き耳の隣に掛けられた告げ口に私はメアリーに繋がる様にと念じ言葉を発する。


「メアリー、メアリー」

「なぁに、リサ?」

「また誰かきたみたい。どうする?
 ちなみに最初に来たのはメアリーと同じ位の女の子だと思うよ。
 今来たのは…ちょっとよく分からない。」

「私女の子の方に会いに行く!リサはそっちの人を見張っててくれる?」

万が一にメアリーの部屋に行かれて絵が燃やされちゃったら大変だもんね。

「分かった。じゃあ5分したらここから出るから戸締りしといてくれる?」

「ありがとう、リサ。また会えるといいね」

「オーケー、メアリー。じゃあ大きいほうの聞き耳と告げ口隠しとくわ」


ここでは聞き耳と告げ口が電話のようなものになっている。


「一応携帯用はつけるけどあんまり使わない方向で。
 ばれたらマズイでしょ?」


じゃあね、メアリー。

そうして私は壁から下げてあった聞き耳と告げ口の絵をおもちゃ箱の隣に置かれた棚に仕舞いこんだ。

花瓶に生けられた薔薇と
携帯用に作られたキーホルダーのような小さくなった聞き耳と告げ口を持つ。


「あーあー、マイクテスマイクテス…」


よし、行こう。

メアリーの部屋から出て数歩歩くと部屋の前に黄色い薔薇の茨の壁ができた。

「おお、グッドタイミング。戸締り、オッケーっと」


さぁ、行きますか。

久しぶりに会うお客に私は面白い物がみれそうだと私は歩を進めた。



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