変な男



え、誰これ。
男?が倒れている。
女じゃなかったの?

来る前に青い絵の女が青い薔薇を持っているのを全部花占いしてなくなる前に譲り受けてよかった。

花びらがもう残り少なくなっていたので
私はここから近い花瓶がどこかを思案したが
無駄に戻るのも嫌だったので
鞄に入れていた水が入った瓶を取り出しその中に薔薇をつけた。


(ギャリーSide)

「うぅ…」

沈んでいた意識が浮上する。
さっきまであれほど痛かった全身の痛みが引いていることに気づき
あれは夢だったのかと
それにしてもたちの悪い夢だったと頭の中でぼやきながら目を開いてく

「うわっ!」
すぐ目の前に顔。
瞬間的にさっきまで絵の女に追いかけられていたことが頭の中に蘇り飛びのく。
しかしいつまでたっても追いかけてこない影に目線を向けると少し呆れた表情をしている少女と目が合った。

「大丈夫?」

言っている言葉と表情が釣り合っていなくてコイツは本当に自分の事を心配しているのかと疑問に思うが
それ以上に自分の他にも人がいたことに安心感がどっとわいた。


(リサSide)

「アンタも美術館にいた人よね?」

言われて少しとどまった。
自分の素性を聞かれたことにではない。

(え、この人オカマ…?)

顔はいいのにオカマとか残念すぎる。
やっぱりどこかはいいとどこかに欠点が出来てしまうものなのか。
たとえばイケメンだったら性格が残念だったり…、
つまり残念なイケメン。

「そうでしょ!あぁ良かった!アタシの他にも人がいた!」

そうして考えている間になにやら話が進んでいるらしい。

(まぁ別に間違ってはないんだけどね。)


そこから色々聞かれたが私は適当にここに来たときのことを思いかえしながら返した。

「へぇ…じゃあアンタはあの大きい魚みたいな絵に飛び込んで帰れないでそのまま1人でここをずっとさ迷っていたって事ね。」


確かに飛び込んだときは1人だったけどすぐメアリーと会った。
だから別にさ迷ってなんていないんだけど、こう返さないと私が怪しまれる。
いっそのこと記憶喪失なんてのもいいと思ったけど
この美術館の中で幾多を過ごしてきた私にとって妙にここでの生活に慣れている姿は不自然だろう
なによりもいちいち絵画達に驚く演技をするなんてそんなことしていたら疲れる一方だ。


「よく頑張ったわね。」
気の毒に思ったのだろう。
肩に手を置かれたあとクシャクシャと頭をなでられた。
久しぶりの人としての温い体温が伝わるのを感じなんともいえない気分になる。
そういえば最後に私以外の?人間?と会ったのはいつだっけ。
思い出せない。


そうして薔薇を取り返したことに感謝されたあと一緒に出ようとか言われて共に行動することになった。


「そういえばまだ名前聞いてなかったわね。 アタシはギャリーっていうのアンタは?」

「リサ…」

「リサ……リサって言うのね」

「子供1人じゃ危ないからね
 ……アタシも一緒に付いていってあげるわ!
 行きましょうリサ!」

私アナタよりもずっと前からここにいるし別に襲われる心配もないんですけど…
まぁこんなこともあろうかとあの青い女の絵に
私が美術館の人以外といる時はとりあえず襲うマネをしてって皆に伝えるように言っといたんだけどね。


ギャリーは先へずんずん進んでいく。
あ、そのさきは悪戯好きな舌が動く絵があるのに。


「ぎゃーっ!」


本当に大丈夫なんだろうか…

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