ずれ



「リサ、ギャリー!」

「ただいま」

会った途端イヴは私とギャリー抱きついてきて、心配だったと何回も繰り返した。
隣でギャリーは行き成りの事にどうすればいいか分からずにうろたえている。

「? どうしたのギャリー」

「あぁ、イヴ説明しなくちゃいけないことがあるの」



話を聞いた時の2人は信じられないような顔をしていて
彼の態度の急な変化になかなか打ちとけれず探索は気まずい空気が流れた。
彼もきっと同じなんだろう。あれから少し無口になったと思う。
言葉も大体一言二言で、それはきっと私達を怖がらせない為に短く話して、いるんだと思う。
私達は女口調のギャリーを知っていても男口調のギャリーは知らなかったから。
それでも彼と3人の間にはまだ壁があるままだ。


休憩しようと彼が言ったのを合図に私達は一室の中で腰を下ろす中
廊下を見張っていると言ってギャリーは横を通り過ぎて部屋から出た。
残された3人は前のようにワイワイ話したりすることができなかった。

「…ギャリー記憶戻らないのかな」

イヴが俯いて呟いた。
イヴもメアリーも彼にどう接すればいいのか分からず戸惑っている。それは彼も同じ。

「こういうのは私達子どもの出番だと思うな」

「リサ?」

「大人になるごとに人間関係って上手く築くことができないから
  私達が今まで通り笑顔で接してあげたらいいんじゃないかな」

こういうときこそ子どもの権利を思う存分使ってやろうじゃないか
だってほら、彼が記憶を失っているなら私達がしっかりサポートするべきでしょ

立ち上がって私は扉の方に歩いた。




「ギャリー」

「…どうしたの」

「隣、いい?」

予想しなかった言葉に驚き見上げてきた彼を無視して私は彼の隣に座り
極めてギャリーといつものように話すように気をつけながら振舞った。

「ギャリーって普通に話せたんだね」

「なにそれ。馬鹿にしてる?」

「ううん。私、ギャリーは女口調しか話せないのかと思ってた」

「俺をなんだと思ってるの」

「オカマ、変人」

「お前なぁ…」

もしかしたらちょっと不自然で変なところがあったかもしれないけれどギャリーは全く気にした素振りを見せなかった。
なんだかギャリーは普通に接してくれてるのに私はまるで隠し事をしていて彼を遠ざけていたように感じる。
それははずれではないけれど、そうなってしまった自分が悲しかった。

彼の記憶を消したことは間違いじゃないとは理解しているけれど
本当にこれで良かったのかと思う

事実、私はまだ彼のことを忘れられないのだ。

「ギャリーっ」
「2人で何話してるの〜混ぜなさいっ」

扉がバタンと開いてイヴとメアリーが飛び出して、私とギャリーが座っている隣にぐいぐいと入ってきた。
勢いで押して2人も打ち解けようとしたのだ。
少々ぎこちないところもあったけど楽しくて、そこに気まずさは無かった。

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