結託



“私の薔薇をあげる”

言ってて言葉が震えた。
だってそれは

「駄目だよ…だってそれじゃあリサが一人ぼっちになっちゃう!」

「でもそれしかないじゃない!」

やるせなさに手の痛みなんて気にせず壁を力任せに叩く。
どうしようもなかった

皆が外に出たいと思ってる。
でも4人一緒には出れない。

「私だって、メアリーと一緒に外に出たいよ」

私がここに留まっていた理由はなんだっけ
段々と難しくなっていく人間関係、世間や社会に振り回されて大人になっていくのが嫌で逃げ出して…
そうしたらここに来て、初めて友達ができて気が付いたら時間を忘れてここに留まっていた。
本当は外の世界が怖いわけじゃない、私が嫌だったそれらと切り離されたこの空間に始めての友達ができて嬉しくて、手放したくなかった。

「メアリーが外の世界にずっと憧れている事は知ってる」

毎日毎日外の話を私にせがんできた。
時には自分が書かれた絵画を見て、どうして自分は絵なのかと涙していたこともあった。
そんなメアリーに自分の世界にいることを強要することは私にはどうしてもできなかった。

「メアリー、外に出ていいんだよ」

「リサ……」

言っておきながら声が震える。
これから味わうだろう孤独という名の恐怖に。

私はただただ
ここに留まった最初の理由を頭の中で繰り返して
自分を無理やり押さえ込んで納得させるしかなかった。


私、皆と一緒にいたい
だから外に行かないで
お願い、1人にしないで

でも自分を丸め込もうと必死になればなるほど
嫌だという私が心の中に沸いて、溢れ出す。


「私、行かない…
 私も外に出なくていい!」

だから泣かないでと私をぎゅっと抱きしめるメアリーも半泣きだ。

だってメアリー、あんなにも外に出たがってたのに。

「外の世界なんていい、1人が嫌だっただけなの…
 それにリサを置いてくなんて嫌だよ…っ!」

わんわんと泣きじゃくるメアリーを見る。
自分と同じものを味あわせたくない、
どれだけ辛いかを知っている彼女は私を同じ目に合わすことを望まない

私達はお互い出会って、初めてできた友達だから。



やっと落ち着いたころに、私はもう一度確認する。

「…メアリー、本当にそれでいいの?」

「うん……
 それに本当は私、外に出ちゃいけないって分かってるから」

メアリーは人間のように見えても実際は絵画であって人間ではない。
どれだけ似せようともそれは絵画の枠から超えることはできない。


「大丈夫、大丈夫だから……メアリー」

悲しそうな顔をしないで、
きっと皆にも認めてもらえるから。
だから皆でここにいよう。


彼らが帰りたいと思っている強く思っているのは此処を危険な場所だと認識しているから
だったらそれを取り除いてやればいい。


「メアリー、皆に会いに行こう」

そうして赤や黄色、青などの服を着た女達や無個性、絵画達に会って…



私達は結託し、ギャリーとイヴを此処に留まらせることに決めた。

皆でここに一緒にいる為に。

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