椅子取りゲーム



こうなるって分かってたんだ

そうして2人、私とメアリー。
もうギャリーとイヴは見えない、聞こえない。
立ち止まって一声

「ねぇ、リサ」


“この世の定理”
そう書かれた本がある。
“存在を交換することにより 空想が現実に成り得る”

もしそれが本当だとしたらメアリーは人間でなくても外へ行けるのではないだろうか
おそらくキーアイテムは薔薇。
ここに入ってきたときに手にした薔薇が精神の具現化ならばそれがあればでられるはずだ
そう考えたのは前からだ。

でもその時は私とメアリー2人で、交換をしてもどちらの世界も1人で残ることになる。
それに私はメアリーが望む家族というものを持ってなかったし、
私達はこの世界で2人残ることにした。

でも今は違う。
ギャリーとイヴが来たことにより薔薇は1より多くなった。
つまり外の世界へ行こうとしても1人ではない、孤独ではないということ。

薔薇の数の人数制限、それは3本。

椅子取りゲームにすれば、
帰りたい3人は1人を置いていかなければ帰ることができない。
そして置いていかれた1人はここで一生孤独に過ごすであろう。

ギャリーもメアリーもイヴも此処から出たいと思ってる
対して私はここにやってきて望んで留まっている。
椅子に座るのは3人
私が椅子を譲り、ここに残れば全てが丸く収まることを知っていた。



「人数は3人まで、だよね?」

「そうだよ」

「私とイヴとリサで…
 リサは大人が嫌いなんでしょ?
 ギャリーを残して皆で外に出ようよっ」

それは私も外へ一緒に帰るという選択肢。

「………」

「リサ?」

つまりギャリーとはここでお別れということ。

「メアリー、私いけないよ」

「え?リサどうして」

ギャリーが頭の中に浮かぶ
ギャリーにとってここに迷い込んだ中で初めて会った人物
私にとって大人も人其々だと教えてくれた大切な人。
今まで私に優しく接してくれた彼を此処に1人残すわけにはいかない。


「私が此処にいるのは自分で望んだこと
 それに外に出たいって思っている人のほうが外に出る権利があるものでしょう。
 だから、

   ギャリーの代わりに私の薔薇をあげる 」


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