不要な心配



そうしてついに此処まで来た。

「あら?なんなのかしらこの物音…」

「なにか近づいてくる感じ…」

「!? 皆、絵から離れて!!」

地面から生えた植物が通路を塞いで4人を二つに別れさせる。
予め分かっていた私とメアリーは、少し先を一緒に先導して近くにいたからちゃんと一緒。
ギャリーとイヴはさっきまでいた人形の部屋の方に別けられている。

「リサ!メアリー!ふたりとも大丈夫!?」

「うん、こっちは平気。ギャリーとイヴは?」

「えぇ、大丈夫よ……それにしても
 
 なによ、これ…… 石でできてるの?
 これが邪魔でそっちに行けないわ
 どうしましょ……」

不安が隠せないイヴはギャリーの傍で泣きそうになっている。

「イヴ…さっきあそこの部屋で拾った鍵を持ってるよね」

「うん…」

「それ、貸してくれないかな?
 多分その鍵でそこの扉が開くと思うの。
 これを壊せる道具があるかもしれない。
 すぐ戻ってくるから待っていてくれる?」

 植物には人が入れる位の隙間はないが手だったら簡単に入るくらいのスペースがあった。

「でも2人だけじゃ危ないわよ。」

鍵を渡すべきか迷っているイヴに
ギャリーは心配して言葉をかける。

「大丈夫、他に方法もないし
 信じて。」

イヴは渋々鍵を手渡す。

「気をつけてね…」

「お願いだからちゃんと2人とも無事で帰ってきなさいよ」

何もなかったらすぐにここに戻ってくること
無理しないで危なくなってもここに戻ってくるのよっ
とか色々言われるけど
最後のはちょっと違うんじゃ。
戻ってきてもこれじゃあお互い助けられないじゃない。

「心配性だなぁ、ギャリーもイヴも。」


じゃあ、行ってくるよ。


私はメアリーの手をとり先へ進んでいった。

嘘をついたからかな、心がチクリと痛む。


( だって心配されなくても私達は平気だもの )

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