定員は3人まで



その後、イヴが落ちてきた人形から紫の鍵を見つけた。
きっと途中にあった開かない扉の鍵だろう。

この部屋にはもう何もないようだったので人形と戯れる2人を引きずって早々に部屋から立ち去った。


「あーあ、もっと遊んでたかったのに」

「人形だったらあんなんじゃなくても外に行けばいっぱいあるでしょっ!」

ぶーたれるメアリーにお黙りっ、と言って引きずるギャリー。

外に行けば、か。

「出れるのかな…」

ボソッと呟くイヴに
出れるわよっ
ってギャリーは励ました。

「あ、そうそう。3人とも
マカロンってしってる?」

「「マカロン?」」

イヴとメアリーの声がハモった。
メアリーが知らないのは分かるけどイヴも知らないんだ。

「そう、ハンバーガーみたいな形のお菓子よ」

いやいや、その説明はないだろう。
イヴもメアリーの頭の上にも?が見える。

「砂糖と卵白を泡立てて焼いた生地にクリームを挟んだ…
 まぁフワっとしたクッキーにクリームをサンドしたようなものでしょ」

私はギャリーに変わって説明すると、2人は想像を膨らませて
おいしそー、食べたいなーといいながら
キャッキャと騒ぐ。

「そうそう。
 この間そのマカロンがすっごくおいしい喫茶店を見つけちゃって
 これがホントに美味しいのよ〜
 クリームも甘すぎないし」

ギャリーの熱弁が始まる。
へぇ、ギャリーってお菓子好きなのかな。
きっと頬に手を当てて
おいしい〜っ!て言いながらマカロンを食べるんだろうな。
想像したら笑える。


「でさー もしここから出れたら いつか一緒に行ってみない?
 ……………いや 
 絶対行きましょ!必ず ここを出て!
 だから絶対に皆で此処から出ましょうね 約束よ!」

2人とも元気に返事をしたけど
私はメアリーの表情が一瞬歪んで躊躇ったのに気付いていた。

どんなに頑張ろうと
ここから出られるのは3人だけだから。

それを一番良くメアリーが理解している。


約束は夢のように掴めないことを。

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