壊れかけの心



入った部屋は青い人形だらけの薄気味悪い部屋だった。

1匹だけならまだ多少は可愛く見えるのにこうも沢山いると私には恐ろしくしか見えなかった。
メアリーには全部が全部、可愛く見えるらしいのだけど。

「……ったく
 この絵といい部屋といいなんでこんな気色悪いのよ!」

「えっ?そうかな……
 カワイイと思うけど」

「えー!?これのどこがカワイイのよ!
 リサもそう思うわよねっ?」

「うん、まぁ…
 イヴは平気?」

「え?全然平気だよ」

メアリーは人形を手に取り遊んでいる
イヴもそれに続き、
可愛いウサギ…と呟いて私の前を通り過ぎた。

ウサギ?
イヴにはこの人形達がウサギに見えるっていうの?


私はギャリーと2人の様子を離れた場所で見ていた。

「あれ、ギャリー何を読んでるの?」

「『心壊』ってタイトルの本みたいよ。」

何時の間にかギャリーは片手に本を持っていて
相変わらず本を読むのが好きみたいだ。
また急にいなくなって後悔してもしらないよ?
まぁその調べっぷりには関心するけど。

私はギャリーの横から本を覗き込む。
ちょうど開いていたページにはこんな事が書かれていた。


『 あまりに精神が疲弊すると そのうち幻覚が見え始め 最後は壊れてしまうだろう

 そして厄介なことに 自身が“壊れて”いるのを 自覚することはできない 』


「ギャリー、私と会うまでにイヴ達と一緒にいたんだよね
 それまでイヴになにかあったりとかした?
 精神的なショックがかかったりだとか…」

「うーん、ここにいて変なものに追いかけられたり変なもの見せられてるって時点で精神的にキツイと思うけど…
 そうねぇ… そういえば途中でイヴの家族が描かれた絵画があったわ。」

「イヴの家族…?」

「えぇ、その後にイヴ倒れちゃってね。
 まぁ無理も無いわよね…」

何故イヴの家族の絵画がここに?
ゲルテナは実在した人物を描く事は滅多に無いはずだ。
それにそんなの私も見たことが無い。

でもとにかくそれでイヴに大きな精神的ショックがあったのは間違いないだろう。
だからなのか

まだ目に見えて壊れてはいないけど、彼女の心は壊れてきているのだろう。
そうでなくとも精神的にかなり疲弊しているはずだ。


ギャリーもイヴも此処にずっといたらいつかは壊れてしまう?

そんな2人と過ごす時間は果たして楽しいものなのだろうか


(でも一緒にいたいの。)

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