迫り来る別れの時



回復した私は皆と行動することになった。

「さて、これからどうしましょ…」

行く当てもないし、とギャリーは頭を掻いている。

「じゃああっちに行こうよ」

メアリーが先頭を切る。
どこに出るか分からないのならとにかく行ってみるしかないでしょう?

そうして私達は行く当てもないまま歩き出した。

まぁ、私とメアリーは知っているんだけどね。



新しく出会った子、イヴは
子供ながらも場に惑わされずしっかりと物事を見ていて
次々と謎を解いていくもんだから驚かされた。


「うわーお、イヴすごい…」

えへへ、と照れる彼女はこんな時役立たなくちゃいけない大人より頭の回転が早くてすっごく頼りになる。

「リサ。アンタ、今アタシのこととても頼りないなぁって思ったでしょ」

「うん、少なくともそこら辺の絵画で驚いて転ぶギャリーとは大違い」

間髪を入れないですぐに切り返す私に
ギャリーがフルフルと震えて
メアリーが笑う。
イヴはオロオロする。


「ふぅー…よし、いいわよ。
 はぁ…ここにきてからアタシ何回石像をずらしたのかしら」

「さすが、腐っても男ですね
 こういう時だけは頼りになる」

「殴るわよ、アンタ」


冗談言って、ふざけて怒って笑って

あぁ、こんなにも楽しい。



「……リサ」

そんな時間もいつかは終わりを告げるもので
この美術館も永遠にどこまでも続いているわけじゃない。

「分かってる、分かってるよメアリー」

そろそろ美術館全部を回ることになる。
此処を一通り回ったらあと行ってないのはさらにこの下、
メアリーが作った世界。
でもそこに今行かせるのはリスクが高い。

ギャリーとイヴは先を進んでいる。
そろそろ私達もこれから先のこと、どうするか話し合わなくちゃね。


「『嫉妬深き花』……
 
 ここで、一旦別れよう? 」

絵画は真っ黒に一色で塗られていて何も描かれていない。
頼むね、とその絵に手を付けて囁く。
物音が静かに立った。


残り少ない、今だけはこの時間を楽しませて

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