存在証明
暗い、闇の中だった
ヒトの形を忘れ、暗闇に紛れて漂い浮かぶ
まるで宇宙にいるかのように。
「リサ、リサッ!」
あれ、此処には誰もいないはずなのに私を呼ぶ声がする
アナタは誰?
意識が浮上する。
もう死んだのかと思った、
私という存在が消えたのかと
目を開けると涙目になったギャリーの顔が視界一杯に広がった。
「リサっ!」
顔が消えて次に来たのは強い圧迫感
抱きしめられているんだなぁとぼんやりした意識の中で理解する。
自分がちゃんとそこに形を保っていることが分かるその圧迫感に私は酷く安心した。
どうやら安心してまた眠ってしまったようで、
次に目が覚めたときには私は3人に囲まれている状態だった。
上にコートが掛けられていて、あったかいこれはきっとギャリーのもの。
体を起こすとメアリーと同じくらいの女の子が私を気遣って大丈夫?と言ってくれた。
まだ少し頭がぼんやりしていたけど徐々に意識がはっきりしてくる。
どうやら場所が移動したようで、ここは倒れてしまった廊下ではなく、どこかの部屋の中のようだ。
それにしても3人の視線が一気に突き刺さるのに私はどうしたらいいものかとあたふたしていると、先にギャリーから口を開いてくれた。
「アンタ、廊下で倒れてたのよ。もう、平気なの?」
そういえば合流しようと思って廊下を走っていたら何かとぶつかって倒れちゃったんだっけ、
急いでいたし、一瞬のことで何も見えなくて自分でも何が起きたのか分からないんだけど。
「はい、これ。アンタの薔薇」
「あ、ありがとう。」
薔薇を手渡されて、いつも通りボトルに入れてバックの中にいれようとしたが持っていないことに気づき周囲を見渡す。
そんな私の様子を見て茶色い髪をした女の子が、はい。と、私のバックを持ってきてくれた。
「ありがとう。えっと…」
「私イヴ。よろしくね。えっと、リサさん」
なんだかさん付けがくすぐったくてすぐにリサでいいよ、と言った。
そうか、この子が最初に此処に入ってきた女の子か。
「メアリー」
黄色い髪をした少女、メアリーがこっちを向いて自分の名前を言って手を差し出してきた。
そういえば初対面という設定になるのかな。
とりあえず手を出してよろしく、と私はそれに答える。
(リサ、大丈夫?)
(うん、もう平気。それより久しぶり、やっと会えたね。)
あんまり深い話はできないのでアイコンタクトで再会を分かち合う。
これで全員集まった。
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