転倒
走っていたら急に見えない何かにぶつかった。
そして、反転。
地面についた拍子にバックの中からパリンと高い音が響いたのと同時にくる痛み。
全身に走る激痛に耐え切れなく私は意識を手放した。
(ギャリーSide)
「あそこ、誰か倒れてる。」
出たのは長く続く廊下で
イヴがその先に倒れている人を見つけ、指差した。
離れたところに茶色い頭が床と接して見えて
それと重なって明るい緑が見えるのが分かる。
あれって、
「リサっ?!」
イヴとメアリーを置いてアタシは駆け出していた。
嫌な汗がつたう。
倒れているのは紛れもないリサ自身で、
顔は真っ青で意識がない彼女はどう見ても危険な状態だとすぐ分かった。
― 薔薇とあなたは一心同体
薔薇、薔薇は!?
鞄を手に取り引っくり返すと
床にガラスの破片が音を立てて散らばる。
その中にあった薔薇は花弁が千切れ傷つき破れていた。
その薔薇を手に取り来た道を引き返し、
イヴとメアリーにすれ違う。
「ギャリーっ」
足が止まる
イヴがギャリーの服を掴んで放さないからだ。
「なによ、早くこの薔薇を活けなくちゃリサがっ」
「私達が行く」
「は?」
「だから彼女のことを見ててあげて」
手に持った薔薇を取られ、イヴとメアリーは花瓶を求めて走っていってしまう。
こうしたのは余裕がないギャリーの表情を見てそのまま行かせるのは危ないと判断したイヴの答えだった。
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