楽しい
大きく口を開けた魚の絵がはめられた扉の先にあった部屋に入った。
ギャリーはなにか情報がないか本棚の本を手に取り見ている。
私も本を見ようと手を伸ばした先には面白そうなものがあった。
「ギャリーギャリー」
「ん?」
私は1冊の本を渡した。
「えっとなになに……
私はその艶かしく美しい素肌に指を滑らせ…って何読ませてんのよっ!!」
ギャリーはすぐに本を閉じた。
「いや、ギャリーってそんな口調してるけど一応男でしょ?
男ならこういう本好きかなぁって
別に気にしないし読んでてもいいよ?」
「一応ってなによ!
あーもう、それ以上何も言わないでっ」
真っ赤になりながら本を本棚にしまうギャリーに可愛いなと思ってしまう。
なんだろう、楽しい。
今みたいなのだったり、驚いた時とかふとしたところが子供みたいで見ていて楽しかった。
私の知っている大人はルールや世間に縛られていていっつも不機嫌。
いつ怒り出して殴られるかがいつも不安で
そのほかはいつも冷たい
感情なんてないような目をしていた。
そんな私が知っている大人には彼は相当見えなくて、
彼はピーターパンなんだろうと思った。
怖くない
もっと一緒にいたい
またあんな顔をみたい
胸の奥がちかちかと焼ける。
なんだろう、この気持ち。
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