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 A-dur 14

「リーダーメーリス…?」



リーダー会議で、初めての顔合わせ。

1人ずつ自己紹介したあと、中心学年である2年の棗さんが前に立って、リーダーについて色々と説明してくれた。

リーダーは、各学年の中心になって親衛隊を支える存在。大事なのはコミュニケーション。守るべき掟は基本的に今までと一緒。リーダー会議は月1。メモに忙しい僕です。


それから、いま話のあった「リーダーメーリス」に入ること。


「リーダーメーリスは、会議の日にち決めだったり、議事録のリンクだったり、リーダー業務にかかわる連絡のためのメーリスだよ」


ほほう。棗さんは優しく分かりやすく説明してくれたから、すぐに理解できた。いつもの親衛隊メーリスとは別に、リーダーのもあるってことか。


「あとはまぁー…、いいや、これは今度説明するね。1年生はまだ関係ないかもしれないし。何か質問は?」



棗さんがぐるりと僕たち1年の顔を見た。今のところ特にないけれど、あとから何か出てきそう。棗さんが言い淀んだのも、ちょっと気になるし。


僕らから特に質問が出なかったからか、棗さんはちょっぴりほっとした顔になって笑った。じゃあ今日のところは解散にしましょう、ということで、お礼を言って僕らはぞろぞろお茶会室を出る。


「たくみちゃん!」


廊下を少し歩いたところで、歩先ぱいに名前を呼ばれた。

振り返るよりも先に、背中に重みが来る。歩先ぱいが後ろから飛びついたらしい。


「ほんっと先ぱい重い!」
「ふふ、筋肉の分かなー?」


いちいち耳元で囁くのやめて!


「わかんないことあったら何でも聞いてね?」
「何でも教えてくださるんですかあ?」
「もちろん!なーんでも教えてあげるよ?いろいろ教えてあげよっか?からだに☆」
「メーリス、他に何に使われてるんですかあ?」
「え?」
「棗さん、"1年にはあまり関係ないかなー"とか言ってましたけどぉ…」
「あー、あれね…園田さまのお相手?」
「え。」
「よ・る・の☆1年はどうだろう、2年になるまで待ってたら園田さま卒業しちゃうしねー」
「…」
「…あれっでも最近順番回ってきてないかも。どこで止まってるわけ?!ちょっと確認してみるわ!もう!」
「いや…別にいいデス…」


ふうん。そういえば歩先ぱいと初めて会ったとき、"園田さまはアレも上手"って言ってたもんね。


「ちょっと待てよ、もしかして3人でするチャンス?!園田さまとたくみちゃん、両手に花?!園田さまにつっこまれてたくみちゃんにつっこんで…うわわわわ」
「先ぱい?何ブツブツ言ってるんですかあ?ふつうにきもいですけどお」
「フフフフフ、ごめんごめん!1年も入れてあげよって提案しちゃお!」
「?」
「たくみちゃん、もしお呼ばれがあったら、何にも持ってかないでね?!」
「?何もって?」
「ほらゴムとかさ…お呼ばれは持ち物&準備必須だから!」
「待って、何の話が始まったんですかあ?っていうか鼻息あらすぎてコワキモですよお…」
「ほら、最初はやっぱ3人がいいじゃん?!園田さまにたくみちゃん独占されるとかイヤじゃん?!」
「???逆じゃなくて?」
「園田さまは誰のものでもない感じだしね!たくみちゃんは僕のもの!」


イヤイヤ、違いますから…。僕も誰のものでもないですからね!でも僕の背中に乗っかる歩先ぱいからは僕の非難の目は見えないので、歩先ぱいは1人るんるんしている。

なんかあれだよね、ちょっと暴走加減がのむちゃんに似てるよね…。


「まぁ、僕の番のほうが先に来るだろうから大丈夫だね!そのとき呼ぶからね?!でも万が一たくみちゃん、先にお呼ばれの番が来たら何も持っていかないように!もしくはお腹痛いとか言って断って!じゃ、僕このあと幹部の集まりあるから戻るねっ!ばいばーい!」
「…さよならあ」


よく分かんないけど、やっと歩先ぱいの重みから解放された僕はそれで満足。


歩先ぱいは、お茶会室に戻っていった。


リーダー会議に出たこと、報告したいのはやっぱり潤ちゃんで、

でも、まだ怒っているのかな。
仲直りはどうしたらできるのかな。

喧嘩する友だちなんていなかった僕だから、どうしたらまた潤ちゃんとおしゃべりできるのか、
人間関係初心者の僕にはまだわかんないや。

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