▼ G-dur 16
「あらっ、次のお茶会月曜なんだ。残念!!」
お昼ごはんの時間になって、もぐもぐとまたまたリスさんみたいにほっぺを膨らませながらのむちゃんが言った。
「なんでのむちゃんがそんなに残念がるのさあ」
「僕は楽しみにしていたのだよ!会長×親衛隊、親衛隊幹部×親衛隊の話を!」
「…もしかしなくてもお、その親衛隊って」
「うん、匠ちゃんだよ!」
うわあ…ウインクまでしちゃってたのしそうなのむちゃんだこと。歩先ぱいとのことはさすがに全部は話せなかったけれど、ちゅーされちゃいましたくらいにとどめて報告してあった。
「でもまさか倉敷先輩が匠ちゃん狙いだったとは…」
「うーん、狙われてるっていうとちょっとチガウ気がするんだけどねえ…」
いや、ある意味狙われてるのかなあ…突っ込みたいとか言われたんですけど…思い出すだけでも恐ろしい。
「いやあでもそれでもびっくりしたよ!倉敷先輩がかわいいもの好きなのは有名だけど…まさか匠ちゃんにちゅーするレベルとは!」
「しーっ!声大きいってばあ…でものむちゃん驚かすのなんかたのしいかもお」
「なにそれキタコレ!これからも驚かせておくれ!大歓迎!」
「いやいやあ、そんなたいしたネタは持ってないんだけどさあ?…あ!そういえばね、歩先ぱいって結構筋肉あるの!細まっちょ?タンクトップ着れちゃう系男子なのお!」
「ひやーーーーー!うそ!それは知らなかった何そのギャップ萌え!やっぱり受けのふりして攻め?!あああ!やばいよだれ出てきた!」
「ちょ、ちょっとお…やめてよつけないでよお?」
「ふふふふ、
あれ、
でも何でそんなこと知ってるの匠ちゃん」
「……あは?」
なんだか墓穴を掘ったらしい僕は、お弁当箱のご飯をかきこんだ。のむちゃんからの視線をびしばし感じるけれど、目を合わせたら負けるってわかってるのでご飯に集中!
のむちゃんは諦めたのか、ごはんを食べるのを再開した。
「今度絶対吐かせよっと」
ぽつりつぶやいた声は聞こえないふりをしましたとさ。
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