にせものamabile。 | ナノ

 A-dur 16

「え、オートロックなんですけど…入り口」



マップを頼りに、進んで行ったはいいけれど。


特別棟らしき建物をやっと見つけて、エントランスホールに入った。

そこにはロックがかかった自動ドアとインターホン。部屋番号を押すためのボタンがあるけれど、指定されたのは"14階"。部屋番号は分からない。


「1…4…OK!うぅ、ダメかぁ…」


ダメ元で、14って押してみたけどうまくいかなかった。カードキーをかざすところはあるみたいだけれど…僕のカードキーは自分の部屋しかあかないし。


部活に入ってる子は、部室も開けられるようになっているらしいけれど。



「誰か来るまで待ってみよっかな…」


とは言ってもあと数分で17:30。誰か通るか、半分賭け。



「あ、棗さんに電話してみるか!


 ………出ない!きぃ!」



メーリスを改めて確認する。連絡が来たのは17時。こんな直前に呼び出されるものなのかな、大変だなリーダーって…


「これで開いちゃったりして〜…っ!!開いた…」



またまたダメ元で自分のカードキーをかざしたら、扉が開いた。

なんだ、ほぼフェイクみたいなものか、このロック。学園のひとなら入れる扉だ。





そういえば、差出人は何年生だろ?

s1105あっとまーく…

あれ。名前表示されてないし、携帯のアドレスではなくて、フリーメールだし。っていうかこれ、BCCとかできるの?宛先も僕だけだし。


急いでいたからちゃんと確認してなかったけれど、ちょっと謎に包まれたメールだな。



とりあえず指定されたフロアに向かおうと、エレベーターのボタンを呼び出した。中に入って無駄に綺麗な装飾に1人でツッコミを入れつつ、14を押す。

あれれ?反応しない。


よく見るとここにもカードキーをかざすところがあって。無駄に厳重!ピピ、と認識させると最上階が光った。


何これ、便利!


今日の集まり、早く終わるといいな。そうしたら潤ちゃんと会えるし、のむちゃんともごはんを食べに行ける。




「あ、着いた。…ぇ、」
「3分の遅刻。」





エレベーターの扉が開いて、1歩踏み出したところですぐに目に入った。





「園田、さま…」




だってこのフロア、ひろい廊下と部屋のドア1つ。そのドアに寄りかかり、腕組みをして立つのは園田会長。



「なんで…」



他には、誰もいない。



僕と園田さまの、ふたりきり。


prev / next


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -