▼ A-dur 19*
「ぁんっ、ぁ、ぁ、も、やめ、」
どのくらいの時間が経ったんだろう。
指で好き勝手かきまわされて、声が我慢できない。
そんな僕を上から見下ろすように観察していた園田さまはクククと声を出して笑った。
「、?!ひやぁあんっ、なに、」
先っぽがあったかくて、やわらかくて、視線を下げると僕のに舌を這わせた園田さまと目があった。
「も、ゆるして、」
その指でもいい。その口でもいい。
どちらかでいいから、離して。
そうじゃないと、
「や、や、いっちゃ、いっちゃう、やだぁ、…痛っ」
「誰がイっていいって言った?」
根元をぎゅっとつかまれて、中に入れられていた指も止められてしまった。けれど抜いてくれることはなく、そのしっかりとした指の存在をより意識してしまう。
「ほら、お願いしろよ」
「ぇ、」
「イかせてくださいって。早く言え」
「そん、な、痛いっ」
強く握られた。思わず涙がぶわっと生産されてしまうくらいには、痛い。
「ほら早く」
「は、離して、くださ…い、いい痛い」
「ちげーだろ?」
「い、い、いか、せて、くだ、さい」
「誰にお願いしてんの?」
「園田、さまぁ…っ」
「は?」
「え、ぁの、そのだ、さま、」
「…」
園田さまは黙って、片手で自分のベルトを外し始めた。
「ぇ、待」
「挿れる」
「ゃ、」
「…」
自分のズボンを前だけはだけさせた園田さまは、僕をベッドの中央に移動させた。
そして自分もベッドにあがる。その重みに、ふかふかのベッドが少しだけ沈む。
いつのまにか靴を履いていない自分に、少しだけ笑えた。
僕の脚を折りたたむようにして広げた彼に、最後のお願い。
「ね、落ち着いて、」
「…」
「そのださまっ」
「…」
「その、ぁ、ああっぁああっ」
一気に、指よりも太いものをいれられて、その衝撃は確かに"気持ちいい"以外の何物でもないのに、園田さまの手は僕の根元を握ったままで。
「ゃんっ、ぁん、ぁ、はげし、い、いきたいぃっそのださまぁっ」
「あ?俺は"園田さん"じゃねえんだろ?」
「ぇ、も、わからな、その、」
「"園田さん"じゃ、ねえ、んだ、ろ?」
「ゃら、あ、かいちょ、ね、おねがい、響かい、ちょー…ぁ、ぁ、あんっ」
「もう一回、」
「ひび、ひびきかいちょ、ん、」
自分で呼べと言ったくせに、キスで口を塞がれた。息が苦しい。そんな僕にお構いなしで、激しいキスを続けながら腰を打ち付ける響会長。
「はぁ、…。」
やっと離れたときには、視界があやふやだった。
ぽたり、ぽたり、園田さまの汗が僕の顔に落ちる。
ぽたり。
なんでそんな苦しそうな顔をするの?
意味がわからないよ、何を考えているのか、わからない。
「…おまえ、上な」
「ぁ、ぁ、ぁぁああ…!」
突然身体を起こされて、より深く奥まで入ってくる。
園田さまは半分だけ身体を起こし、さっきまで僕のをつかんでいた右手で僕の腰を支えていて。
手を離してもらったのはいいけれど、早くイきたくてしょうがなくて、勝手にうごいてしまう腰の動きを見られてしまうのは恥ずかしくて。
「み、みないで、」
ぎゅ、と目をつぶったけれど、やっぱり止まらない。
ここまできたら、もう止まらない。
気持ちい。
気持ちい。
ぁ、イきそ…!
カシャリ
「へ」
「もう一回」
カシャリ
不審な音に目を開けると、園田さまの手には携帯。
しかも、僕の視線がカメラに向いたその一瞬で、もう一度撮られてしまった。
「おまえの顔も、入ってるとこも、丸見え」
「…!」
「生だって分かるんじゃねこれ。…動き止めんなよ」
「ゃ、消して、あぁああ!」
携帯をベッドの上に放り投げた園田さまは片手で僕の腰をつかんで、下から激しく突いて。
そんな状況でこみ上げる射精感にあらがえるわけもなく。
勢いよく精をはなった僕は、ぱたりと園田さまのほうへと身体を預けた。
瞼の重さが尋常ではなく、そのまま目を閉じたのだった。
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