にゃあ。
猫に憐れまれた気がした。むかつく。ぺいと小さい額を叩けば牙を剥かれた。本当にかわいくない。
「そういえば、兄を探せと言っておきながら、何も伝えてなかったね」
「兄さんの名前は銀朱、弟の僕の名前は真朱。二人とも色の名前。数少ない共通点。」
「今はもう兄の名前を呼ぶ人もいないよ。あの人が今どう呼ばれているかも知らない。どっかで野垂れ死んでるって親も言ってる」
「だとしたら。だとしても」
「連れてきてよ。猫には命が九つあるんでしょう」
「あの時終わるはずだった一つくらい、僕のために使ってよ」