暗い地下牢から、私は広大な敷地に立つ総隊長の屋敷に住まわせていただくことになった。明るく広い部屋をひとつ与えられ、敷地内であれば自由に歩き回ることを許された。
そんな待遇を受けながら、わたしは一日中自室に閉じこもり、部屋に運ばれてくる食事すらほとんど食べることが出来なかった。
心は空っぽで、暗く冷たく沈んでいて。ただ、後悔を重ね自分を呪い続ける日々だった。
それでも、死ぬことは出来なかった。
死ぬのは怖かった。
- 月下美人 -
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