「俺の名前は阿近。で、ここは技術開発局。霊波の観測や、様々な製品を開発したり研究したり…まぁ色々やっている所だ」

ざっくりとした説明のあと阿近さんはあっちをガサゴソ、こっちをガシャガシャ言わせながら何かの部品を集めていき、あっという間に小さな装飾品のようなものを作り出した。

「これが霊力制御装置。万一また嘲蜜が暴走した時、瀞霊廷内に被害が及ぶのを防ぐため。…まぁそれ以前にまずお前の体がもたないからな。そうならないために力を極限まで抑えてくれる装置だ」

あんなに簡単そうに作ってしまったのに、本当にそんな力があるんだろうか…。小さな赤い石がついた装置は綺麗で、そんなすごいものには見えない。

「今つけてる大層な首輪より目立たなくていいだろ。簡単に外れねぇようにしなきゃならねぇから…ピアスにしとくか。穴開いてる?」
「開いてません」
「そうか。じゃあ開けてやろう」

さらりとそう言って、阿近さんは装置を器用にピアスに作り変えていく。私は何も言わずにいると、阿近さんはつまらなそうな顔をした。

「びびんねぇのかよ」
「…耳に穴開けるくらいどうってことないです」
「つまんねぇなー…」

阿近さんはまた私に向かって煙草の煙を吹きかけて。やっぱりわざとやっているんだ。
消毒液やピアスを開けるための機材を用意している阿近さんに聞こえないように呟いた。

「…ドS…」
「なんか言ったか?」
「べつに」
「外見と中身は正反対だな。可愛くねぇやつ」
「ほっといてください」
「お前なー、これから長い付き合いになるんだからもっと外見に見合った物言いをしろよ。可愛がってやんねぇぞ?」
「長い付き合い?」
「俺がお前の担当だ。これから定期的に装置の点検や魂魄の状態を検査しに来てもらう」

そうなのか。だからみんなで押し付けあっていたのかな。こんな危険人物の担当なんて誰もしたくないよね。


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