「この…ッ」

掴みかかってきた看守を殴ったり蹴ったり、苛立ちの赴くままに暴れていると騒ぎを聞きつけた他の看守たちが集まってきて、牢の中は人でいっぱいになった。

「離せ!!!」

大勢の手によって身動きができなくて、力いっぱい叫んでいると、牢の外に近い方から静寂が伝わってきた。ザッと周りにいた全員が脇に整列し、視界が開けた。
牢の外には、総隊長が立っていた。

「皆、牢から出るのじゃ」

即座に全員外に出ていなくなり、牢の中は再びガランとした広さを取り戻した。

「食事をとらないそうじゃな」
「…」

答えず、すとん、と椅子に座った。なんだかどっと疲れた。

「その顔では一睡もしていないようじゃの」
「……」
「じゃがまぁ暴れる元気はあるようじゃ」
「なんの御用ですか」
「話をしに来た」
「…話すことなんて…」

何を話すんだ。一体いつまで私はここに閉じ込められているんだ…。

「ここから出して…」

声は、さっき暴れたときとは正反対にか細かった。外に出たい。頭がおかしくなりそうだ。
総隊長は、ただ静かに私を見下ろしながら言葉を続けた。

「そなたの行動にはこちらも困り果てておる。そなたの力については公にはしていないが、悪い噂がたっているようじゃ。そなたの暴力沙汰も相まって、看守を名乗り出る者もおらぬ」
「…」
「あまりわがままが過ぎるようであれば、こちらにも考えがあるぞ」
「……」
「…致し方ない…そなたにはやはり死んでもらおう」
「…え…?」

反射的に顔を上げると、総隊長は冷たい目線を私の額の辺りに向けたまま、抑揚なく言った。

「死刑じゃ…。そなたの望む所であろう」

…死刑?

「嘲蜜を見失うことは惜しいが…致し方ない。また長い眠りについてもらうことを祈ろう」

…死ぬ?
どうして…殺さないと言ったのに…。
私が暴れたから?食事もとらないから?危険だから?


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