呪われた刀…
死の刀…
千年ぶりに現れ…
尸魂界に多大な影響を…
持ち主は必ず死に至る…

だったらあの時すぐに殺せばよかったものを。何度も何度も総隊長の言葉を反芻し、考えを巡らせても辿りつく最良の結論はそれしかない。
なのになぜ私はこんな所に閉じ込められ、食事と寝床を与えられているのか。
これからどうなるんだろう。私は研究材料にでもなるのだろうか。

何かの間違いだったんじゃないか。本当に私の刀がその『呪われた刀』なのか。
現に、あれ以来嘲蜜の声は聞こえない。
激しい頭痛も、こみ上げてくる押さえようのない力もない。

心は空虚だった。ただ誰かが近づくときだけ激しい苛立ちが心を満たし、殴りかからずにはいられなかった。

納得がいかなかった。
尸魂界の判断。現状を信じられない自分。未だ手に残る生々しい感触…。
全ては現実だ。逃れようもない。だからこそ、信じたくなかった。

眠りに落ちる瞬間に蘇るあの声。あの、光景…。
一睡もできない日が続いていた。
たまらなく魅力的だった『死』という選択が、本当に正しいのかどうかも今は分からなかった。

牢の真ん中に一脚だけ置かれた華奢な椅子に膝を抱えて座り、顔をうずめながら延々と考えていたとき、鉄格子の外に人の気配を感じた。

「出ろ」

鉄格子の鍵を開けながら、昨日とは違う看守が命令した。昨日までいた看守は私が殴り飛ばして気絶させたんだっけ。私が命令に従わないと、看守は私の腕を強く引っ張り、無理やり外に出そうとした。

「触るな!」

私が霊力制御装置をつけているから油断していたのか、顎を殴られた看守は受身も取れずに倒れた。装置をつけられて最初は力が出なかったが、ここ数日で慣れてしまったのか、力はいつも通りだった。


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