怖い
怪しい
気持ち悪い
近づかない方がいい




悪意の込められた言葉ほどよく耳につくのは何故だろうか。
一度技局を出れば向けられる数多の視線。それは技局員の証である死覇装の上に羽織った白衣に始まり、白い肌、深紅の瞳、最後に額の三本角に注がれ、止まる。
この角が生えてから随分と年月が経ったものだが、一向に好奇の視線は減らない。年と共にそんなものは気にならなくなったとしても、確かにそこにある視線。視線…。
男は俺を蔑む者と、良い物品提供元として近寄ってくる者に分かれる。女は大半が俺を恐れてか近寄ってこない。席無しの平隊員は特に。残りの少数は後腐れない阿婆擦れたち。暇なときは相手してやる。

これが俺の存在であり、現在過去未来と不変のもの。別に変えようとも思わない。常人の生き方になんざちっとも魅力を感じない。
技局の人間として、技局員と共に、技局の中で生きる。そこに何の不満があるだろう。


かといって得があるかと言われたら、無い、と俺は答えるのだろう。




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