…こいつはいつもこの天然のノリで実験するんだよな…。それで新薬発明したりするし。でもそれがまた危なっかしくて慎重派の俺としては見ていられない訳で…。まぁそんなほっとけないところにも惹かれたんだけど。

「…そのいろいろをよく思い出して報告書にまとめておくように」
「え!覚えてません…」
「お前の記憶力の良さは知ってるんだからな。この前、伝令神機の性能測定をプログラミングするとき、長ったらしい公式使って計算解いてただろ。しかも暗算で」
「アッカーマン関数ですか?あれは好きだから覚えられるんですよ…」

…こいつは俺より頭いいんじゃねぇかと、たまに思ってしまったりする。でも、興味が薄いことに関しての記憶力は常人並のようで(現に今すげー悩んでるし)。よく凡ミスするし物ひっくり返すし。やっぱりただの天然だな…。
真白はじっと、自分が作った2つの雪だるまを見つめている。

「思い出せそうか?」
「…この子たちは、これからずっと溶けることなく一緒にいられるんですよね。それって幸せですよね」
「…永遠を信じてるのか?」
「阿近さんがこの机の隅っこの、このスペースを2人に貸してくれている限りは2人は一緒にいられますよね。永遠は不確かだけど、阿近さんのことは信じられます」

あぁ、そうか、と妙に納得できた。
約束は人が創り人が守るもので。信頼する人が創った約束は、確約となる。

俺はお前のことなら信じられるから。真白が俺の傍にいてくれるというなら、俺はお前を信じてずっと一緒にいたい。
お前が俺を好きだと、一度でも言ってくれるなら。永遠でさえも、信じることができると思うんだ。

「…報告書、ちゃんと書けよ」
「…覚えてましたか…」

なめんなコラ忘れるわけねぇだろ。…ったくわかったよ手伝えばいいんだろ。

未だに付き合ってるんだかそうでないんだか、はっきりしない距離の俺たち。それでも真白は、俺の隣で笑っている。
これで十分だとも思う。
とりあえず今は、この雪だるまの恋人たちと引けをとってはいないと思うから…。



And thats all…?
2010.05.02

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