俺は信じない | ナノ


▼蜘蛛の情報




『クラピカ!』

「ユエか…」

『ヒソカから聞いたんだ
ってな』

「…蜘蛛の事か」




俺が小さく頷くと、
クラピカは顔を
しかめた。まるで、
俺には知られたく
なかったと言うように。




『クラピカ、お前は何を
抱えてる?』

「…」

『まさか、復讐とかを
考えてるんじゃねぇ
だろうな』




俺は、クラピカの口から
否定の言葉を待った。
だが、クラピカの口から
出たのは俺の期待を崩す
言葉だった。




「…その通りだよ、ユエ」

『なんで…』

「クルタ族の事を知って
いるお前なら解るだろ。
この『緋の瞳』を
めぐって、過去にどんな
事があったのか」

『…』




知らない訳がない。
過去に『緋の瞳』を
狙った蜘蛛、幻影旅段が
クルタ族を虐殺した。
そして、クルタ族の遺体
からは目が全て抉り
取られていたらしい。




「私は、同族の恨みを
晴らしてやりたいんだ」

『だからってお前が復讐
して何になる』

「…」

『復讐を終えたとして、
お前の中に何が残る』




復讐したければすれば
いい。ただ、その後に
復讐を果たした者に何が
残ると思ってるんだ?
空虚しか残らない、
復讐を目的としてきた
奴等は目的がなくなった
あとは、死しかない。




『俺に、お前を止める
理由はねぇよ。だが、
復讐なんて悲しいもんを
して欲しくはない。
だから、危なくなったら
止めるぞ。それまでは、
口出ししない。それで
いいか?』

「ありがとう、ユエ」




クラピカの表情もどこか
明るくなった。




『戻ろうぜ、会場』

「あぁ」




復讐の念が簡単に消える
とは思ってない。この俺
だって、抱えてる闇の
方が多いんだ。それ
まで、俺がクラピカを
見ててやらないとな。







蜘蛛の情報

(それにしてもヒソカの
野郎…)