目深に被った帽子の下の色を私は知っていた。人と話す時には目を決して合わせない、泳ぐ視線所在なげな手は帽子へ伸びる。そのくせ言葉だけは多い。必要のない物は見たくない聞きたくない綺麗なものと好きなもののより抜き、飴玉だけで育った子供のままの人。私だって大して変わらないのだけど。あのねえ何から伝えようか。取り敢えずその帽子を取って鬱陶しい前髪をかきあげて見せてやりたいものがたくさんあるよ。
息を吸って吐いて見渡してご覧。案外ね、悪くないもんなのよ。一から全部教えてあげるからちゃんと聞いてなさいね、あんたの視界を埋め尽くすものの名前は私が全部教えてあげる。


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