コロッケの日
今日は二人とも珍しく定時に上がれた。最寄り駅で待ち合わせをして、商店街を並んで歩いていく。
「基さん、夕飯は何が食べたいですか?」
「そうだなぁ……」
ふと基さんの視線が止まったのを見て、その視線を辿る。
「お肉屋さんかぁ」
ご飯に合うようなながっつり生姜焼にするか、チキンステーキにするか。あれこれ考えていると
「コロッケ、食べないか?」
と聞いてきた。
「いいですね」
そう同意すると、基さんはいそいそとお肉屋さんへ向かう。
「すみません、メンチカツ二枚とコロッケ四枚。二枚はすぐ食べます」
「基さん、すぐ食べるって……」
「こういうのは揚げたてが一番だろ?」
しれっとその場で食べる分も注文している基さん。
お会計を済ませ注文したものを受け取ると、基さんはコロッケを一つ私に渡してきた。
「お前も食うだろ?」
「……ありがと」
熱々の揚げたてコロッケを頬張る姿は初めて見るもので、まるで部活帰りの買い食いの学生さんみたいでちょっと新鮮。
「ん?どうかしたか?」
「ううん、何でもない」
私の視線に気付いた基さんの言葉に首を振ると、私もコロッケにかじりついた。


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