ラムネの日
「歳三さん、お帰りなさい」
「あぁ、ただいま」
剣道サークルの活動に参加していた歳三さんが帰ってきた。
「暑かったでしょう?」
そう言って冷やしておいたラムネの瓶を差し出す。
「これはまた……懐かしいな」
「ね、懐かしいですよね」
「どこでこれを?」
「あそこのスーパーで」
そう言えば、歳三さんは少し驚いた顔をする。私も見た時は、驚いたもの。昔は駄菓子屋や縁日で売っているのをよく見たけれど、いつの間にか駄菓子屋は姿を消し、ペットボトルに変わっていって、見かけることは少なくなった。まさかこんな身近に売っていたとは。
「さっそく飲んでみましょう」
そう言って玉押しをセットするけれど、うまくビー玉が落ちてくれない。
「どれ」
見かねた歳三さんが、私の手の上に自分の手を重ね、ぐっと押し込む。するとカランとビー玉が落ち、隙間からシュワシュワとラムネが溢れる。
「あなたは昔から苦手だったな」
クスリと笑う声と背中に感じるたくましい熱に、年甲斐もなくドキドキしてしまった。


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