コロッケの日
大型連休の最終日。連休中は特にどこかへ出掛けるわけでもなく、カレンダー通りの休日を過ごしていた。でも最後の日くらいは、と彼女と一緒にショッピングモールへと出掛けた。
「やっぱり混んでたっすね」
出掛けたことより、人の多さに疲れた気がする。
「疲れてないっすか?あ、夕飯は俺が作りますよ」
「夏太郎くんも疲れてるでしょ?お惣菜で済ませちゃお」
「いいっすね」
幸い、駅前には小さいながらも商店街がある。そこで好きなものを買っていくことにした。
「あ、私コロッケ食べたい」
そう言った彼女の視線の先には肉屋が。
「じゃあ、俺はトンカツが食いたいっす」
「私買ってくるから、夏太郎くん、キャベツお願い」
はい、と元気よく返事をして、俺は八百屋へと向かった。
キャベツを買って急いで肉屋へ戻れば
「はい、これ夏太郎くんの」
と、彼女がコロッケを差し出してくる。え、コロッケって夕飯で食べるんじゃなかったっけ。
「お腹空いちゃった」
へへっと笑い、コロッケにかじりつく姿は初めて見るもので、しっかりものの彼女の、ちょっと子どもっぽい姿に嬉しくなった。


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