◎ 04
その夜トキヤは部屋には帰ってこなかった。
まあ当たり前なのかな。誰だって彼女が犯された相手の待つ部屋になんて帰りたくないよね。
「…ひとりだぁ、」
一人は慣れているつもりだった。
だが改めてこうして一人になるとやはり寂しいと思うし何より昔のことを思い出す。
今頃なまえはトキヤに慰めてもらってるのかな。
というか、元々なまえがオレに優しくしなければ、思わせぶりな態度を取らなければ、トキヤと付き合っている事を公言していれば―
「オレは、何も間違ってない」
小さな呟きは部屋に呑まれて消えた。
「ごめんなさい、ごめんなさい…」
「落ち着きなさい。なまえは何も悪いことはないでしょう?」
よしよしと頭を撫でてくれるトキヤの手は暖かい。最初は触れられたくもなかった。
ずっと拒んでいたが実力行使で抱き締められたの だ。
「私汚れてる…」
この呟きにトキヤは大層ご立腹だったようで先ほどから耳を軽く咥えている。
お願い、鳥肌立つからやめて。
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