この辺りも粗方制圧して、少しの間各自で休憩時間を取っていた。
早く進みたいと渋る者も居たが、休息も戦士の務めと説くと納得したようだった。
少しもしない間に、少年たちが離れた場所で何やら走り回って遊びだす。
若いとは言え、己と変わらないだけの働きをしているはずなのにあのバイタリティはどこから来るのか。
ウォーリア・オブ・ライトは腰を下ろすと、盾を傍らに置いて武具の具合を調べ始めた。
欠けてはいないものの、少し輝きが曇っている。
切れ味が鈍っては万全の戦いはできまい。
隣で同じように、いつも背負っている大剣の手入れをしているクラウドに声をかけた。
「すまないが、そこの研ぎ石を取ってもらえないか」
「はいっ!」
すぐさま差し出されたそれに少し戸惑う。
クラウドに声を掛けたつもりだったのだが、更に奥に居たはずのフリオニールがにこにこと研ぎ石を手に持っていた。
「…あ、ああ。悪いな」
「いや、このくらいのこと!」
逆隣にいたセシルがくすっと笑う。
そちらを見やると、ウォーリア・オブ・ライトに少し首を傾げて肩を竦めてみせた。
意図が読めずに視線をまたフリオニールに戻すと、きらきらした目でこちらを見ている。
「どうした?」
「何か他に必要なものはないか?」
「いや、申し出は有り難いが、君も休むといい」
フリオニールは、構わないさと明るく返す。
少し悩んだものの、それならばと口を開くとフリオニールが目を輝かせた。
「あの荷物の中に聖水があったはずだ。研ぎ汁に使いたい」
「任せてくれ!」
すぐさま、陣営の中心に纏められている皆の荷物の方へと駆け出す。
何だか調子が狂ってしまう。
セシルがくすくすと笑った。
「随分慕われているね」
「彼に何かした覚えはないのだが」
「…あんたに憧れているそうだ」
私に?
クラウドに向き直ると、彼にしては珍しく口元が弛んでいる。
「あんたの役に立ちたくて仕方がないんだろう」
「だが、何故だ?」
先程の言の通り、フリオニールの憧憬を誘うような真似をした記憶はなかった。
理由なんてないんじゃないかな。
自身も武器を磨きながらセシルが言う。
微笑ましそうに笑っていた。
「私はどうすればいい」
「何もしなくていいだろう。ただ、たまに…そうだな、助言をやったり、働きを認めてもらえればそれ以上に嬉しいことはないはずだ」
そういうものか。
頷きながら、クラウドの様子を窺う。
何かに想いを馳せるように遠くを見やるその瞳には、いつか彼が憧れていた人が映っているのだろうか。
フリオニールを見れば、最後に使った者が適当に放り込んだのか、目当ての物が見つからずに憤慨している。
ウォーリア・オブ・ライトは少し頬を弛ませた。
「覚えておこう」
あれ、とセシルが手を休めて顔を覗き込む。
「もしかして、笑ってる?」
「…私は笑っていたか?」
「それがあんたの笑顔なら、俺よりずっと仏頂面だな」
つらっと言ってのけるクラウドに、顔をしかめる。
セシルの笑い声を耳に、ウォーリア・オブ・ライトは寄せられた眉根を指で解しながら溜め息を吐いた。
まだ若いあの義士が戻ってきたら、笑顔でありがとうと言ってやろうか。
そう思いながら。
「しかし、彼にピンクのしっぽを持って来いと言ったら取ってきてくれるだろうか」
「…暫くフリオニールに会えなくなるから、絶対に言うなよ」
「あああああアラームもうなくなるよおおお!!!」
「(ビクッ)」
舎弟フリオかわいい
フ「1さんすごいなーあこがれちゃうなー」
W「それほどでもない」
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