ミソスープダイブ!
 4限までの授業が終わり、この学校の生徒は全寮制のためたいていの生徒が購買でパンを買うか食堂でご飯をすませる。弁当の奴もいるが、男子高校生で弁当作れるくらいに料理できる奴なんてまれだ。

 当然、俺に弁当を作るスキルがあるはずもない。(黒井は作ろうと思えば作れるけどめんどくさいし、山奥の全寮制男子校についてるスーパーじゃあ材料費が高くて食堂の方がやす上がることもあるらしい)

「何にしよう」
「俺Aランチかな」
「えーじゃあ俺日替わり」

 食券を買い、おばちゃんに渡して料理を受け取る。そのまま空いた席に座った。食堂はほぼ全校生徒がごったかえすため、机を占領できることはまずない。(だいたい長机しかないし)もちろん相席。隣の席に生徒会がいようと親衛隊持ちが居ようと、この学校はおかまいなしだ。(むしろ親衛隊員が全力でとりあいをする)俺たちは基本的にそういうのにかかわりたくないため、隣にいる人の顔をみてからすでに両隣とも埋まっているようなところに座るようにしている。が、今日はそうもうまくいかなかった。親衛隊に絡まれたくない奴はみんな同じこと考えているからだ。

「そこでいい?」
「ああ、うん」

 しょうがないから、窓際の席に座った。
 今日の日替わりランチは白身魚のフライにトマトの乗ったサラダ、コーンスープ、白飯だった。さあ、たべようか、と、なった時、横で誰かが座った。誰だろう、そう思った時だった。俺の正面に座る黒井が青ざめた顔をしていたのに気付いた。まずい。やられた。そう思った時には遅かった。


「ここ、座っていいよな?」
「…どうぞ」


 ―――風紀委員長、蜂屋要。


 残念ながら、学校でもかなり規模のでかい親衛隊を持っているやつだった。


 黒井は青い顔してる。俺は手汗が噴き出し始めた。黒井と俺は目を合わせた。テレパシーとか持ってない。黒井の言いたいことは全部わかるとかそんな漫画みてえな設定も持ってない。でも言いたいことはお互い伝わったようだ。


(…早く食べ終わろう)


 いつもはくっちゃべりながら食べる食事を、二人で無言でひたすら食べた。ちょう食べた。水でもう流す感じ。ほぼ噛まなかった。白身魚のフライちょうすきだけど、我慢だ、俺…!

 さあ、ラスト、トマトたべる。と思ってトマトを箸にもったときだった。


「っうお…!」


 熱い。と思った瞬間には、状況把握できていた。
 

「申し訳ない!」

 黒井、またもや顔面蒼白。
 俺、皮膚真っ赤。

 隣で和食御膳を食べていた風紀委員長の味噌汁が俺の制服にぶっかかった。焦ってる委員長なんてみんなレアなんじゃないの…って冷静に思っていたら、本当に焦っていたらしく、今度は冷水を頭からかけられた。


「は…?」


 黒井が思わずそう呟いていた。

「やけどしたらまずい!」

 だからって頭からお冷かけなくてもよくないか?ばかなのか?ばかなのか?それともわざとなのか?

「本当に申し訳ない、保健室まで連れて行く」
「はっ?!」

 気がついたら腕を引っ張りあげられていた。立ち上げさせられたと思った時には俺は人ごみを委員長にひっぱられて食堂から出ていた。

 
「いい、いいですいいです、本当にいいですマジやけどとかしてないですから…!」
「いや、それでは俺が困る」
「本当にいいですってば…!」

 何言ってもだめだなこいつ。そして黒井ごめん。後処理頼むわ。ああ、もう、ありえない。運ない俺。と思いながら俺は委員長にもうされるがままになっていた。


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bkm


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