ハッピーエンド
 姉が腐女子というやつで昔から漫画が大好きだった。少女漫画だけに限らず、少年漫画、青年誌、果てには、右手のお供のような漫画ですら読んでいたことには衝撃を覚えている。
 そんな姉が俺に時たま少女漫画を読んでほしいらしく、押しつけてくる。

 主人公の女の子の目はいつだってきらきら、きらきら、輝いていて、少女漫画に出てくる男の子はみんなみんな、性格だって良くて、かっこよくて。とにかく、女の子が憧れる王子様そのものだった。
 あくまで漫画の中での話であるから、現実に居ないって、分かっていても、自分自身では、その男の子たちに憧れをもっていた。こんな人になりたいな、ずっとずっと、そう思っていた。

 だからどんなことでもできるだけ早く、完璧にできるように努力した。勉強も、スポーツも頑張った。漫画と現実。二次元と三次元。それらを近づけることは、はっきりいって無謀だったのかもしれないが、それでも、ああなれば、幸せになれるのか、幸せになれる?そう、思ったからだ。

 別に身内に不幸があって、天涯孤独というわけでも、すっげえ貧乏ってわけでもなんでもなく、俺はどちらかというと、というか、断言して言える。恵まれている。だから、幸せになりたい、そんな気持ちは人と変わらないはずだ。だけど、今のままじゃ、どこか自分は自分に欠陥があって、幸せになれるような気がしなかった。だから、だ。



 はっきりとした、理由なんて分かんねえ、ただの、直感だった。


 少女漫画に出てくる、男の子のようには、自分が幸せになれない気がした。だから、努力した。

 あの男の子たちに、少しでも、近づけるように。そう、ただ、ひたすら、願って。



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bkm


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