境界線へ飛び込んだ
 もじゃもじゃ頭も、自己中で軽率な行動も、ぜんぶぜんぶ、好きでやっているわけではなく。だからといって、何も認知せずに、行動しているわけでもない。性悪つーわけでも、天然っていうわけでも、ましてやバカというわけでもないと、俺は自負している。じゃあ、しなきゃいいじゃんって、同室者のお前、―――脇役に言われた。確かに、事実だ。正論だ。だけども、お前は俺がそうあってほしいと望んでるだろ?腐男子だっけ?まあそれは俺のママ(笑)と同じなんだけど。腐女子?腐男子?BL?マジでアホらしー。だから、ありたいていに言えば、副会長の笑顔を見破ったのも、会長を殴ったのも、会計を見分けたのも、書記を手懐けたのも、会計に下半身の注意をしたのも、そのほかもろもろ、エトセトラ。ぜーんぶ、ぜんぶ、わざとなわけよ。策略?そうですそうですとも、知ってます。知ってます。わかってます。だけどさ、本当にそう望んでるのは、お前らだろ?腐男子はもちろん、王道くんみたいな素直でウブで、心の中にストレートぶち込むような、そんな人間をずっとずっと探してた会長も、副会長もみーんなみんな、俺みたいな人間を待ち望んでいた。別に俺じゃなくてもよかったんだろ?俺みたいなのであればよかったんだろ?もじゃもじゃ頭で、この時期に編入してこりゃあいいんだろ?それがたまたま、俺だっただけだ。まっ白い心かとおもいきや真っ黒な腹ン中抱えてた俺だったってだけだ。お前らが望んでいたから、俺はそれに従っただけ。だから文句なんて言えるはずがねえだろ?だって、お前はたのしくてたのしくて、仕方ないはずなんだから。あーあ。みんなバッカだよな。結局さ、やっぱり、俺じゃなくていいんだよ。俺っていう存在じゃなくたっていいんだよ。■■■■って名前持ってる俺じゃなくてもいいんだよ。誰にだってすり替え可能なんだよ。だけどそれをできるのは俺だけだって信じ込んでる、お前らって、ホント、バカ。ちょーう、哀れ?あはははは、もー、嫌!



 そう吐き捨てた最近編入してきた同室者―――王道くん、■■■■の笑顔を見て、体中が冷え切った。むしろ、凍った。そして、この運命をひどく嘆いた。手ゴマにしていたのは、腐男子の俺ではなく、そして、性悪な天使の彼でもなく、俺を含めた世の中すべてだったことに。


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テーマ「人外ファンタジー」
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