アウト!
 山奥の全寮制男子校に入学して1年半。ついにこの時がやってきました。


「あー」
「どうした」

 生徒会室に入ると、いつも通り会長がソファーに座って、書類とにらめっこしていた。ほかの生徒会役員はおらず、生徒会室には俺と会長だけだった。

「会長」
「どうした書記」
「彼女にフられました」
「ついにか」

 俺は高等部にこの学校に入学し、2年の頭から生徒会の書記をやっている。全寮制男子校、イン、山奥。ホモがうろうろするこの学校で俺は外部に彼女が居るという貴重な生徒だったように思う。
 しかし、1年半。
 一カ月に一回会えれば、いいほう。メールか電話は毎日していたものの、やはり不満は募るばかりで、ついに昨日彼女に「すきなひとができた」報告をされて、別れました。

「あー」
「らしくねえぞ、剣道部部長」
「あー」
「平成の侍、硬派で男前属性のお前がらしくねえぞ」
「会長…」

 会長の横、ソファーに座ると、会長に頭をなでられた。
 あー、きもちい。会長になでられると何だかわからないが、胸がほっこりする。ずっと、なでててほしい。
 俺の黒く短く切られた髪の毛をなでまわすと、その手は離れ、俺の両頬を片手でつかんで、無理やり会長のほうへ顔を向かされた。

「かい、ちょ?」
「別れたのかー、へえ」
「…あの、」

 そのまま、会長の顔が近づいてくることにも抵抗することができず、唇と唇は無残にも衝突した。彼女いたし、ファーストキスってわけではないが、この学校に居るくせに、俺はホモ反対といっていたものだから、正直意味がわからなかった。

「あ、の」

 言葉を挟んでいる間にも何度も何度も、軽い軽いものを自分の唇に落とされる。されるがままになっていれば、ふいに、唇の中に舌が入り込んできて、思わずのけぞる。

(やばいやばい、やばい、やばい、これは、まずいっ…!)

 解放されたときにお互いの唇を伝う白い糸をみて、ものすごくはずかしくなっているのもつかの間。

「、ひっ、あ」

 スラックスの上から、モロにつかまれた。ぎゅう、と、力をつかんで揉んでくるその手を必死にはがそうとするが、会長はまったく辞めない。なぜだ、なぜだっ

「かい、ちょ、っう、」
「彼女と別れたんだってなァ」
「あう、っ、」
「今までずぅっと狙ってたけど、まあ彼女いたしあきらめてたわけだが、別れたんなら、思う存分攻めさせていただきます」

 会長?え?会長?会長って俺のこと好きだったんですか、え?ちょっと、だからって、いきなり、え、ちょっと、まって、まってまってまって。

 カッターシャツの上からおもいっきり、乳首(ぶっは!)をつねられて、もう、なんなのこの人。会長とかもうしらん。とか思いつつ、口から出るのは、小さなあえぎ。

「あ、っも」
「忘れさせてやっから、思いっきり、喘げ」

 耳元で、腰に来るハスキーボイスでそうささやかれ、太ももに会長の腰をおしつけられ、ああああもう、バリバリたってんじゃねえか、と心の中で悪態をつくも、会長を離れさすすべはなく、俺はそのままソファーに押し倒され、あとは、もう、―――フェードアウト。



*



「こんの絶倫…」

 ああああああ、と頭をかきむしるも、自分のバックバージンは帰ってこない。だから俺を腕の中に収める会長の鼻をとりあえずデコピンではじいといた。
 つうか、ひとつしか年かわんねえのに、なんでそんなうまいんだよとか、なんでそんな体力あんの?とか俺剣道部で会長帰宅部なのになんでこんな体力以下略。
 とりあえず、どろどろにとかされた。なんかもうとりあえずしつこかった。セックスなんて挿れてイって終わればいいだけなのに、なんで、もう、挿れるまでが長すぎ。
 っていうか、俺しかいじられてねえのに、俺乳首やらちんこやらひたすらいじられて舐められて、あとはケツに指つっこまれて。なのになんで会長がそれでおったてはじめれるのかがわからない。お前なんもされてねえのになんで、っていう。
 指つっこまれてからは、もうひどかった。もうどろっどろに弛緩するまでぐちゃぐちゃにされた。泣いた。本気で号泣した。ああもう、ほんと、どうやってその年にそのスキル手に入れたんだよクソッタレ。

「あー」

 とりあえず、その腕の力をゆるめてくれないと、俺起きられないんだけど。そう、心のなかでやっぱり悪態をつく俺だった。


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