"ともだち"、とはなんでしょうか。
なんだか小学校の道徳の時間で取り上げそうな質問だ、と我ながら思う。
だけどこれは俺にとって大真面目だし、第一俺は高校生だし、頭の中はぐちゃぐちゃだし、この状況をどうにか打開するか、この状況を誰かに説明してほしい。
「あのさ」
「なに」
「やっぱなんでもない」
"ともだち"、に、聞こうと思った。
"ともだち"、って何。
つーか、俺たちの関係ってなんだろう。
たとえば、"ともだち"は喜怒哀楽を共有するものであれば、俺たちは"ともだち"だろう。ずっと傍にいることも"ともだち"だとすれば、あてはまる。"ともだち"が困っている時、助けてあげることが"ともだち"ならば、それだって大丈夫。
じゃあ、"ともだち"は、セックスするんだろうか?
当然、しないだろう。
やっぱりじゃあ、俺たちは本当に"ともだち"なんだろうか、それとも別の何かなのだろうか。親友、幼馴染、それでは済まされないのだろうか。セックスフレンド?なんだか、生々しい。
「ヤりたい」
幼稚園からの腐れ縁の彼は、俺の部屋でゲームをするのをやめた途端、そう言い放った。いつものことだ。いきなりだ、こいつは。遊びに来てもやらない日もある。というかそういう日のほうが多い。
おもむろに俺のことをベッドに押し倒して、のしかかった彼。キスはしない、(したらこれが"ともだち"ではなくなるのは確実だ)
「なあ」
「なに」
「あのさ」
「うん」
「…」
「どうした」
「なんでもねえわ」
結局は、怖いのだろうか、はっきりさせることが。
なんだかんだ、男のこいつのことが、俺はそういう対象としてすきなのだろうか、違うのだろうか、何一つわからない。
わからないまま、それでも、それでも。
(もう、いいか)