君だけが特別
 俺は自他ともに認めるオタクである。
 ゲーム大好き、アニメ大好き、二次元大好き、二次元への切符買えたら一億でも払う。

「なー、なー、いちー、きいてる?いち?」

 ぶっちゃけ、聞いてない。
 俺はパソコンの画面の中の女の子に夢中だ。名前はアズちゃん。黒髪ショートカットでちょっとボーイッシュな外見をしているが中身はけっこう男前だけど実はかまってちゃん。かわいい。かわいすぎる。ギャップ萌えって結構重要。

「いち、ってば」

 俺の椅子をがたがた揺らす梓。
 画面が揺れる、というか俺が揺れている。

「あーもーいちのばーか」

 梓は俺の幼馴染である。

「こいびとほっといてゲームってなくねえ?」

 件、恋人だ。(男同士だけど)

「今集中してる。待て」
「俺は犬じゃねえ!」

 あーもー。と梓は俺のベッドに寝ころび始めた。ごろごろとせわしなく体を動かし続ける彼。


「お前は画面の中の女の子のほうが、俺より好きなわけ…」


 小さなつぶやきを、俺は逃さなかった。
 ベッドに寝転がる梓の後ろから俺は一緒に寝そべった。

「あのさ、梓」
「うっさいオタク」
「それNGワードだからね」

 もうこのさいどうでもいい。





「あのゲームのアズちゃん、梓に似てるから好きなんだけど?」





 小さいころ、俺は梓のことをアズとよんでいたし。
 というか今もアズってよぶし。


「ね、アズ」
「な、なに…」
「アズしかいらない」


 真っ赤に染まる耳がかわいすぎて、その耳に口づければ「うがあああああああああ」と叫ばれた。


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bkm

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