目の前にちらついた金色。
俺はそいつの腕をとっつかまえた。
「おい」
「先生?おはよーございまーす」
「おはよーじゃねえんだよ」
桜散る春。
昨日は高校の入学式だった。そして俺の職場である高校にも、新しい生徒が1000人ほど入学した。
で、入学式の翌日である今日。
新入生の服装を抜き打ちで検査するために、服装指導の担当の職員が校門に立ち、違反している1年生にくぎを刺す。
そして、体育科の教員ではないが、若いことと身長が高いこと、あとは筋肉質であることから俺も「怖そう」ということで国語科担当である俺も服装指導の担当になった。手に持たされたのは竹刀。(ちなみに俺は運動がからっきしできない)
で、今捕まえたのは金髪。
「うちの学校の校則知ってるよな?」
「…金髪だめですか」
「染めるの禁止」
「え、じゃあ地毛なら金髪大丈夫なんスよね?」
「地毛ならな、まあそんなやついねえけど」
「地毛なんすけど」
「は?」
「いやだから地毛っす、これ」
目の前の金髪の生徒は校則にはひっかからない程度の長さの髪の毛をくるくると指に絡めていじった。けろり、とした顔でそれをいい、俺に向かってやつははにかんだ。
「日本人だろてめえ」
「ハーフですハーフ」
「彫深くねえだろ」
「なんか髪の毛だけ父親譲りなんす。ドイツ人です。ガチで」
「ガチってなんだ、日本語は正しくつかえ」
「ってか、本当ですって」
「父親の名前は?」
「敦です」
「ドイツ人なめんな」
「いやほんとうなんですってば!」
もうどうやったらしんじてくれるんですか、と、彼はなんだかへこんだ顔をした。犬みてえ。だけど俺は猫派だからそんなもんになだめられねえぞ畜生!
「とりあえず、明日黒染めして――」
そこまで言ってから、目の前の彼がいきなりは、っとした顔をした。頭の上に電球がうかんで、光っていたような気がする。
「陰毛みせますよ!」
「Pardon?」
するとおもむろに彼はベルトのバックルを外し始めた。
ここは校門。今は朝。生徒はうじゃうじゃ。俺の上司も部下もいます。あ、まちがえた学校で俺(28)が一番若いから部下はいない。ちょっとそんなことより、
「TPOをかんがえろ!」
「うぐっ」
気が付いたら、竹刀で腹をついていた。
「…放課後に国語科第3資料室来い」
放課後、やつはちゃんと来た。
名前はどうやら原田というらしい。(先生に聞いた)
「…で、陰毛みせたら信じてくれますか」
「陰毛もそめたりとかしてねえよな」
「わき毛もすね毛もみせますよ」
「いや、いいわ」
髪の毛染めたほうがはやいじゃん。それ。って、原田に言ったら、俺の父さん今離婚してるんであえないから、これだけはのこしておきたいんです。と言われた。申し訳ない。
原田は結局、ベルトをゆるめて、スラックスのファスナーを開けた。
「確認してください」
ボクサーのゴムをゆるめて、俺にみせてきたその部分は紛れもなく金色だった。
照れた素振りも何もみせない原田。まあ同じ男だし。
ってか、ゆるめたスラックスから除く金色とか、え、え。
「えろ…」
思わずつぶやいてしまった。すると原田は「え?」と小さく驚き、そのまま耳まで真っ赤にして、ゆでだこのようになってしまった。
「も、いいですか」
そうやってファスナーをあげようとした腕を思わずつかんでしまった。そのまま横にあるソファーへやつを放り投げた。やばい、とわかっているがこれは、やばい。
「洋物みてえ」
「うえっ?!」
気が付いたら押し倒して、やつの局部をスラックスごしにつかんでいた。びくり、と大きく揺れるからだ。あー…これは、やばい。
「な、なななななな、な、なにするんスか…っ」
「俺もわかんねえ」
「は?」
「いやだったら殴って」
「ちょ、ま、」
「たった」
「はァ?!」
「すまん」
そういいながら、カッターシャツの裾から手を侵入させた。すると体がやはりびくつく。その反応がたまらなくそそる。
「わき毛、みせてくれんだろ」
「なんかこれはちがいますって、ちょっとマジ…っ」
でもなぐってこないんだなあ、と安心しながら原田のカッターシャツのボタンをはずし、肌をはだけさせた。脇から除く毛は紛れもなく金色で、思わず腕をなめてしまった。「ひ、」と小さく声をあげる原田。ああ、もう、これは、まずい。
気が付いたら鎖骨に舌を這わせていた。腹をまさぐっていた手を顔の方向へ、肌をなぞりながら徘徊する。
「んっ」
指の隙間が胸の突起にあたり、原田は声をあげた。それによくした俺は指でそれをこねるように愛撫した。原田は感じやすいのか、体を何度も跳ねさせながら俺の愛撫に耐えていた。口に手をあてて、声を我慢するも時々漏れる声がたまらなくえろい。
「…たってる」
もう片方の手で、ボクサーパンツごしに原田を確かめると、もう濡れていた。どれだけ感じやすいんだ、と思いながらそれをなぞると、小さく声をあげた。
「…同意の元ってことで、いいか?」
なぐられなかった、ってことは。
そう原田にたずね、顔を窺うと真っ赤な顔をした原田が俺の下にいた。
「…き、きくな、ばか…」
結論、食べちゃいました。
責任はとることにしました。