きらいきらいしんじゃえ
 山。
 とりあえず、山。山。山。
 目の前には真っ白な書類の山が幾重にも積み重なっていた。

(おわんな…)

 元々一人でする量の書類ではない。くろまりもにめろめろ(笑)な他の三人の仕事もだ。ああ、なにこれ。なに。これ。

 できたての豆をつぶしながら、万年筆を動かしつづけていると、ふと、生徒会室の扉が開く音がして、顔をあげると久しぶりにみた副会長がたっていた。

「どうした」

 あまりにも唐突で、あまりにも久しぶりで。震える手をかくしきれずにいた。

「特に用はないですよ」
「そうか」

 直視できない。
 こわい、こわい。彼をみると、あきらめがつかない自分がひどく滑稽におもえる。彼はくろまりもがすきで。ああ、いたい。

「会長」

 頬に、冷たい、なにか。びくりとしてみれば副会長がおれの頬にふれていた。ちかい。ああ、も。こわ、。

「隈すごいですね」
 だれのせいだとおもって。目蓋をふれる彼に過剰な反応をしながら、内心悪態をついた。

「やせました?ちいさくなりましたね」
 髪の毛に触れて、彼はそのあとすぐ離れてからいいはなった。


「会長のそういうとこ、」

 大嫌いなんです。


 笑顔で、いうことでは、ないだろ。


 生徒会室をでてった彼をみて、なにかがこわれた気がした。


きらいきらいしんじゃえ


 会長の、ひとをたよらないところが、


「大嫌いなんです」


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bkm

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