(主催企画、小夜曲提出)



折原臨也は笑いました。そんなこと無駄だよ、君がどうこう出来る話じゃあないんだ、と。彼女は笑いました。出来ないをやらない理由にするのは愚の骨頂だ、と。すると彼は何処か悲しそうに、好きにすればと口にするのです。そして彼女は彼の言う無駄な事をして、何も変わらなかった結果を見てこう思うのです。

「ああ、また貴方の言う通りだった、」



折原臨也のマンションで、彼女は口を開く。貴方はどう思う?彼はいつものように無駄だと返事をした。君は愚かだというのだろうけれど、ね。付け足された言葉に彼女は眉を潜める。

「それでも私が助けに行くと言ったら、貴方は私を止めるの?」

「止めないよ。それこそ無駄なことだ」

ただの友人にそこまでする君の考えはさっぱり分からないけどね。毒を含んだ物言いは、皮肉かそれとも彼なりの優しさか。彼女には見当も付かなかった。

「相手は粟楠会だよ?君が勝てる筈がない」

「私の友人一人くらいは助けられるから、」

「その代わりに君が目を付けられる」

「いつも通り神様にお参りでもしてから行こうかしら」

「神なんていないよ――…ねえ、諦めなよ」

彼が何処か必死そうな声で止めたけれど、彼女は静かに首を振った。行動しないで後悔したら、私はきっと自ら命を絶っちゃうから。小さく笑った彼女に彼は、溜め息を吐くことしか出来なかった。

「ねえ臨也、神様が居ないなら、私は貴方に祈っていくよ」

「、は?」

無事上手くいきますように、と彼に向かって彼女は手を合わせ、念じるようにしてその後一礼する。

「待っ、」

「行ってきます!」

彼女はそう、綺麗に笑ってみせた。



折原臨也は笑えませんでした。無駄なことだと言ったのに、やっぱり君は聞き入れやしない、と。彼女は笑いました。それでも今回は、無駄なことなんかじゃあなかったわ、と。すると彼は少し困ったように、俺のお陰だろうと呟くのです。そして彼女は彼の言う無駄な事をして、初めて覆った結果を見て有難うと彼に微笑むのでした。


神の加護を願う前に

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