俺は再認識した。なまえだけは、敵に回しちゃいけない。今日一番最初に部室に来てよかった。マジで良かった。なまえの味方に回り込めて、心の底から良かったと思う。

「へぶしっ」

「あーくん!」

「へいへい」

部室へ入ってくる部員たちの足にロープを引っ掛け、そのまま結んでいく。中には二組のロープを纏めて結んであるものもあったが、とにかく転ぶなりよろけるなりした部員の両手を、俺は後ろで結んでいく。なまえお前何者だよ。百発百中ってどういうことだ。しかもさっき小鳥遊が入って来た時は見事にスルーだった。しのぶちゃんなら大丈夫!というなまえの言葉通り、小鳥遊は部員を助けることはせず、寧ろ足で床に転がして遊んでいる。

「ラスト!」

「うおっ」

最後の犠牲者は辺見だったようで、床に自慢のデコをぶつけていた。うっわ、痛そ。

「ふっふっふ、全員制覇!やったねあーくん!」

「おー」

鬼道くんの怒ったような声が聞こえたが、なまえはものの見事にスルーした。

「さーてみんな、逃げ場はないよ?大人しく私に従ってもらいましょーか」

なまえの満面の笑みに、何か黒いものが見えた気がしたが気にしないことにした。


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